穏やかな時間が流れる韓屋の中の伝統カフェ。野の草花を使ったティーアートでおもてなし!
こんにちは!ソウルナビです。今日は、韓屋(韓国の伝統家屋)で、伝統文化を感じながら、すてきなティータイムを過ごせるお店をご紹介します。韓国旅行といえば、弾丸ツアーで「ショッピングにエステに焼肉~」なんて、パワフルで忙しいイメージ。でも、韓屋にあがって、こんなおもてなしを受けていると、ほうっと心も身体もほぐれて穏やかな気持ちになります。素朴なようで洗練されたお茶とお茶菓子のセットは、ティーアートの先生が季節に合わせて野の草花で彩っているもの。興味のある方は、そのセンスに触れるだけでも行く価値あり!もうひとつの韓国の魅力に会いに、伝統カフェ「タバンサ」へ行ってみょ!
◇◆ 韓屋が連なるこの風景…郊外?!いえいえ、明洞からも徒歩圏内!
実はこちらのお店、 ソウル市内の民俗村ともいえる、「南山コル韓屋村」の中にあります。南山コル韓屋村は、 市内に散在していた伝統家屋を移築・保存し、折々に伝統行事など行っている場所。観光の拠点となる明洞からも1キロ弱と、徒歩圏内。最寄駅の地下鉄3・4号線忠武路駅からは、出口を出てすぐに入口の門が見える距離です。
◎さらにさらに…南山コル韓屋村の中の、国楽堂の中です!
ここが入口。門の前にお店の看板が。
伝統家屋が軒を連ねる南山コル韓屋村。「cafeタバンサ」は、入口の門をくぐり、広場を抜けて直進。左手に出てくる、2007年にオープンした国楽(韓国伝統音楽)専用の劇場「南山国楽堂」の敷地内にあります。劇場といっても、外観は伝統家屋と同じようにつくられており、その門をくぐるときは両班(貴族)のおうちにお邪魔する気分…。
門を入ると中庭を囲むように建物があります。右手にあるのが「南山国楽堂」で、外見は韓屋風ですが地下に行くと、伝統インテリアを生かした最新設備の劇場がありビックリ。正面が「cafeタバンサ」、左手は体験館。韓国の伝統文化を紹介するプログラム、「美・秀・茶」の会場。韓服を着ながら、伝統音楽を目の前で楽しんだり、お茶の作法の体験などができると人気です。
◇◆ 「韓屋風インテリア」ではなく、丸ごと韓屋なカフェ
市内でも伝統茶を出すカフェはよくみかけるし、店内もそれらしく伝統小物をインテリアにしていたり…って、珍しくはないですよね。そんな中、ここがすごいのは、カフェがある建物だけではなく、ご近所まで含めて丸ごと韓屋だってこと。ちょっと歩くと両班(貴族)の旧邸宅があったり、風情のある小川や池に木立の中を行く散策路…と雰囲気バッチリ。
中のインテリアも、扉一つとっても風情があるし、野の花やポジャギのカーテンがさりげなくあしらわれていて、ほっとします。文化財のような外観ながら、実際に使われて、人に馴染んでいる感じが、なんともいいんです。
◇◆ 韓国の伝統と文化を伝えるおもてなし
ティーアートのリ・ボギョン先生
「味わって頂くのは、お茶だけじゃないんです」
こちらのお茶とお茶菓子をプロデュースしているのが、ティーアートの講師でもある「リ・ボギョン先生」。 ゆったりお話されるその姿からは、とっても優雅なオーラが…。
冒頭の写真のとおり、伝統茶には四季折々のお茶菓子がつきます。とっても嬉しいのですが、ナビは心配なことが…先生、伝統茶一杯分の価格でこんなに素敵なお茶菓子まで提供したりして、大丈夫なんですか?!「このお店の目的は、もうけることじゃないんですよ…韓国の伝統と文化に触れていただくことが一番なんです。」とのこと。
実は、隣の体験館で行われる「美秀茶」のイベントの講師も勤める先生。「美秀茶」とあわせて韓国の文化に触れてもらう目的で作られたお店なので、お値打ち価格で伝統茶のセットを楽しむことができます。「お茶を通して、韓国の伝統と文化、そしてご自身にも出会える場所です。」と先生。
ティーアートのリ・ボギョン先生が手がける、おもてなしの一工夫先生によって生み出されるお茶と、素敵な一皿…。どれもすべて、人工的な添加物は不添加。出されるお茶菓子も、蒸かしたかぼちゃに蜂蜜をかけたものや、おなじみのソンピョン(お餅)、蓮根チップなど身体に良いものばかり。伝統茶の材料も、丁寧に選ばれ時間をかけて手作りされています。
飾りに使われる草花は、ソウル郊外の先生の自宅のまわりで、毎朝摘んできているそう。市場で仕入れるのではなく、お客さんを思い浮かべながら「今の季節はこの葉とお花が合うかしら…」なんて選ぶ方が心がこもるでしょう?と楽しそうに話してくださいました。
野の草花をつかった先生の演出は、デコレーションや飾り付けというよりも、「おもてなしの一工夫」といったカンジで、温かみがあります。
◇◆ メニューをご紹介~!
それではさっそく、美味しそうな伝統茶と、先生のティーアートをご紹介!!そうそう、昔の人々と同じように、季節に合わせたおもてなしをするのが「Caféタバンサ」流。なので、お茶菓子も、飾りも、季節や選んだお茶の雰囲気に合わせて日々変わっていくそうです。写真を撮らせて頂いたのは、8月の終わりのよく晴れた夏日でした。季節もイメージしながらご覧くださいませ~^^
◎日本人からの人気No.1!!「 オミジャチャ(五味子茶 )」
もはやお馴染み?!赤い色が美しい五味子茶。「甘・酸・辛・塩・苦」の五つの味を持つといわれています。肝疾患、記憶力、視力回復、せき(喘息鎮静)などに効果があるとか。しっかり甘味を感じるのですが、シロップなどは使わず時間をかけてつくっているそう。伝統茶の中では飲みやすく、好きな方も多い味なので、初めての方にもおすすめです。ナビは、疲れたときに飲むと、目が冴えて元気になる気がします。
付け合わせのお茶菓子は、「ソンピョン」。秋夕(チュソク)などの名節に食べられる餅菓子です。中には、胡麻餡などが入っています。
◎さっぱりして飲みやすい「ホンサムマルチャ(紅参抹茶)」
見た目は日本でもおなじみの抹茶ですが、「ホンサムマルチャ」はこちらのオリジナル。体内の熱を下げる効能のある抹茶と、体内の熱を上げる効能のある紅参をブレンドしたもの。苦い×苦いかと思いきや、絶妙の調和でさっぱりとして飲みやすいお茶です。ビタミンE、Cが豊富に含まれているとか。
付け合わせのお菓子は干菓子。 蓮根チップのとなりの菊型の干菓子は、胡麻をひいたものとソンファと呼ばれる松の花粉を固めた高級なもの。落雁をしっとりさせたような味わいです。
◎大人から子供までOKの優しい健康茶「タバンサ茶」
有機農栽培の柑橘類と緑茶をブレンドしたもので、免疫を高め、ガン、心臓疾患、脳卒中の予防の助けになるとか。緑茶は、柑橘類と一緒にとることでその効能がより高くなるそうです。
韓方の香りがあるものの強くなく、ほのかな甘味があって飲みやすいお茶。甘茶にちょっと似ているかなと感じました。
◎優しい甘味「ホバク(かぼちゃ)シッケ」
シッケはモチ米から作る甘い飲み物。家庭でも作るものなので、韓国の人にとっては身近なドリンクです。夏にシャリシャリの氷と一緒に頂くことが多いです。こちらでは、めずらしいかぼちゃ味の黄色いシッケ。韓国人のお客さんが5人で来て、全員このかぼちゃのシッケを注文していました!人気なのかな~^^
付け合わせのお茶菓子は、ふかしたかぼちゃの上に紅参のはちみつ漬けを載せたもの。苦いイメージのある朝鮮人参ですが、甘味があっておいしく頂きました。食べ終わったら、元気になった気分?!
◎甘酸っぱくて元気復活「メシルチャ(梅茶)」
自家製のメシル茶。エキスだけではなく、梅も丸ごと一緒に頂きます。梅はスッパくはなく、甘味があってとろとろで、とても美味しかったですよ。疲労回復、デトックスの効果があるほか、韓国の人は胃もたれのときなどにもメシル茶を飲むとか。旅行中にピッタリですね。
夕暮れ時に外で頂くのもまた美味しい。
いかがでしたか?伝統音楽がかすかに聞こえる韓屋の中で過ごす時間は、タイムスリップしたような気分でまた格別でした。取材の後、また何度か通ってしまったナビですが、午後に出かけて夕暮れ時をこちらで迎えるのもまた風情があっておすすめですよ!(閉店間際に行くとテイクアウトのみになってしまうので、余裕を持って訪ねてくださいね。)以上、すてきなティーアートと、韓屋村全体の魅力にすっかりはまってしまったナビがお伝えしました。