平壌式の鍋と肉ジョン(チヂミ)、そして自家製レシピのマッコリ!
こんにちは!ソウルナビです。地域によってそれぞれちょっとずつ違う、その地域特有の郷土料理。韓国料理の中には韓国各地のものだけじゃなく、もちろん北朝鮮の郷土料理というのもあります。今日ご紹介するのは平壌(ピョンヤン)出身のオモニ(お母さん)が作る北朝鮮料理のいただけるお店!こちら「ボンファジョン」には平壌式のジョン(チヂミの仲間)や、独特の鍋料理をはじめとする北朝鮮の味がいろいろ揃っています。あ、そうそう、お店オリジナルのマッコリもありますよ!って北朝鮮料理って一体どんな料理?!さっそくご案内しましょう~!!
芸能人&セレブ御用達エリア、清潭洞の真ん中に!
場所はソウルの南のほうに位置する清潭洞(チョンダムドン)。海外の高級ブランドのブティックが並びセレブたちが集まり、ソウルで最も高級な街として知られているエリア。またこの辺りには芸能関係の事務所もたくさんあるので、芸能人にばったり遭遇!なんてことも。そんな場所にあるだけあって、お店には芸能人のお客さんもたくさんやって来るとか。こちらは2011年10月にオープンしてからまだ1ヶ月余りなんですが、実は以前は同じ場所で同じ社長さんが日本式の居酒屋をやっていて、その頃からの芸能人の常連さんがたくさんいらっしゃるんだそう。うかがってみると、キム・テヒや入隊前だったチョ・インソンは本当によく来ていたとか。そのほか、2PMのニックン、歌手のタブロ、俳優のチョン・ウソンにパク・シヨン、それからヒョニョンなど日本でもよく知られている有名人の名前がいっぱい挙がってナビもびっくり!
以前、同じ場所にあった日本式居酒屋とはナビでも紹介していた「三田屋」。中は前のお店の時と同じような造りで、入るとすぐ堀ごたつ式の座敷席があり、奥はテーブル席になっています。高級なエリアにあるお店といっても気取った雰囲気は全くなく、気軽にわいわいと楽しくお食事ができそうな空間!
故郷、平壌の味をそのままに・・・ソウルではちょっと珍しい料理も!
こちらが料理を担当しているお店の代表、キム・ボンファさん。「ボンファジョン」という店名は、このオモニ(お母さん)の名前からつけられたものだったんですね。オモニの故郷は現在の北朝鮮の平壌(ピョンヤン)。幼い頃、オモニのお父さんは平壌でジョン(チヂミ)を出すお店をされていたそう。朝鮮戦争の時に一家で韓国へ来てからも故郷の味がそのまま受け継がれ、こちらのお店でいただけるのがその北朝鮮式の料理、というわけなんです。ずっと家で作ってきた料理が「とっても美味しい!」と評判で、この北朝鮮式の料理を出すお店を開いたそうですよ。
ところで北朝鮮式の料理って一体どんなもの?こちらのお店では北朝鮮でもやっぱりオモニの故郷の平壌式のものがメイン。中でも一番人気なのが、オモニのお父さんが平壌でお店をしていた時に作っていた肉のジョン。野菜や魚、お肉などに小麦粉と卵をつけてから多めの油で焼く料理がジョンで、日本でもお馴染みの韓国料理、チヂミもジョンの仲間。こちらのお店で一番のオススメはサムギョッサル(豚の三枚肉)や薄くスライスした牛肉のジョンですが、実はこのようなお肉のジョンって現在の韓国では滅多に見ないものなんです。これがまさに平壌式の料理!
また肉のジョンの他にも、メニューには北朝鮮の料理がいろいろあり。例えばクッパ(スープ入りご飯)が「オンバン(温飯)」とか、現在韓国で呼ばれている名前とは違った北朝鮮特有の料理名になっているものもありますよ。
では、オモニに肉のジョンを焼いてもらいましょう!厨房の鉄板でじゅうじゅうと美味しそうに焼かれていくジョン。平壌でお父さんが開いていたお店の作り方と全く同じ方法だそう。「お肉のジョンは、お肉の下ごしらえとタイミングよくひっくり返しながら焼いていくのが美味しく作るコツ」とか。
人気メニューをご紹介!
では、焼きあがったお肉のジョンと、その他のお店の人気メニューをご紹介していきましょう!!
■ユッジョンモドゥム(肉ジョン盛り合わせ)
お肉のジョンメニューにはソコギ(牛肉)、テジコギ(豚肉)、ソコギワンジャ(牛ミンチ)、それからソネジャン(牛モツ)とあるのですが、こちらはそれら全てが一度に味わえる盛り合わせ。ちょっぴり濃いめのピリ辛醤油ベースダレにつけてからどうぞ。付け合わせで出てくる手作りで日替わりのお惣菜もどれもイケます!
この盛り合わせ中でもナビ的にイチオシなのが豚肉のジョン!!焼肉でおなじみのサムギョッサル(三枚肉)をジョンにしたものなんですが、これがすごく美味しい~!今までナビも韓国でたくさんジョンを食べてきましたが、サムギョッサルのジョンは初めて。こんなに美味しいものなんですね~。そのほか、薄くスライスした牛肉や牛モツなどいろいろあり、飽きることなくいただけます。
■イボクマッコリ(以北マッコリ)
次にオススメなのがジョンと一緒にいただきたいマッコリ。実はこちらのイボッ(以北)マッコリも平壌のものとか。といっても北朝鮮から輸入しているわけではなく、オモニの家に伝わるレシピで作られたもの。もちろんお店で直接作っているのではなく、知り合いの製造所でオモニの指示のもと作られているそうですよ。酸味は控えめでさっぱりとした甘みが特徴。後味のスッキリ具合が市販のものとはやはり違います!
■オボッチェンバン
こちらはもともと平安道(ピョンアンド)地方の郷土料理というオボッチェンバン。オモニが幼いころ平壌にいた時にも大事なお客さんをもてなす料理として家で作られていたそうで、その味を再現したのがこちら。“チェンバン”とは平たい鍋のことですが、“オボッ”は漢字で書くと「御腹」。んん?お腹??そう、牛の腹の肉の鍋という意味なんです。牛のお腹から少ししかとれない部位を使うのが本場のオボッチェンバンなんだそう。お鍋をのぞいてみると、下茹でされたピンク色のお腹肉の薄切り、春菊、ギンナン、ゆで卵、それから細切り梨がキレイに盛り付けられています。
では、どうやって食べるのでしょうか?!まずは牛スープをお鍋に注ぎ、火にかけます。スープがぐつぐつと煮えてきたらあっという間に完成!お肉はあらかじめ茹でられているので、スープが沸騰して全体が温まったらすぐにいただくことができます。
具はお鍋の真ん中にあるタレにつけていただきます。ここは腹肉と春菊、梨を一緒に食べてみてください。最初は「お鍋に梨?!」と思いましたが、梨のほのかで自然な甘みがお肉や春菊の香りとぴったりマッチ!また、牛スープのほうにも野菜や梨の味が染み出し、なんとも言えないお味になります。オボッチェンバンにはマンドゥ(大きな餃子)やメミルサリ(そば麺)の追加もできるので、シメに追加するとこのスープをより堪能できそう!
■キムチマリグクス
キムチは特にオモニの得意料理。こちらは素麺を冷たいキムチスープでいただくキムチマリグクスです。キムチとトンチミ(辛くない大根の水キムチ)スープ、肉や大根、ニンニクなどで作った特製スープを混ぜたスープはとっても美味!薄切りのお肉もたくさんトッピングされています。
北朝鮮の料理はどちらかというと薄味で素材の味を生かしたやさしい味付けのものが多いかも。これは日本人の口にもよく合うのではないでしょうか。そんな北朝鮮の味が楽しめる「ボンファジョン」、いかがでしたか?お店には今日ご紹介した料理のほかにもまだまだたくさんのメニューがあります。ナビ的には豚肉のジョンとマッコリの組み合わせがイチオシですが、メニュー表には日本語の表記もあるので他にも気になるものがあればチャレンジしてみてくださいね!以上、清潭洞にある「ボンファジョン」からソウルナビがお伝えしました。