創業から50年以上!ココが正真正銘の立って食べる焼肉屋さん!
こんにちは!ソウルナビです。韓国旅行で外せない料理というと、やっぱり焼肉!でも最近は肉の値段が上がって、美味しい牛焼肉を楽しもうと思うと高い!「焼肉=高級料理」というイメージが地元でも定着している中、今日はそんな焼肉店のイメージを底から覆す?!値段も安い&とってもディープなカルビ屋さんをご紹介しましょう!クチコミでも以前から話題になっていた「ソソモンヌンカルビチッ ヨンナムシクタン」です。直訳すると「立って食べるカルビ屋・ヨンナム食堂」となる訳ですが、まさか?!焼肉を立って食べる訳ないっしょ~とお思いの方、予想を大きく外しています。こちらはほんとにほんと!立って食べるお店なんです!さっそくそのウワサのお店にご案内しましょう!
創業から50年以上!にぎやかな学生街「新村」が畑だった頃にオープン!
こちらがお店の2代目社長、イ・デヒョンさん。昔からよく知っているような、親しみのあるやさしい笑顔で迎えてくれたおじいちゃん(失礼かな?!)は、今のお店があるノゴサンドン(老姑山洞*学生街「新村」の駅から徒歩5分)の農家の家に生まれ育ち、先代のお父さんが1953年に始めたこのお店を、小学校の時から手伝って来たとか。そこで、この新村に住んでいる留学生の方は「え?!農家?!」と疑問に思われた方もいらっしゃると思います。そうなんです、地名の「ノゴサン」という名の通り、ここは昔もっと高い山だったとか。今のようなモーテルや高層ビルは一切なかったので、農家ができたワケ。しかしその当時は何もない時代。お店というより特設のテント屋台だったから、次から次へと進められる町の開発工事のたびに移転を強いられ、この周辺で引越しすること今まで9回!オープン以来、約42年目にして初めて今のような建物の「お店らしいお店」を持ったんだとか。
なぜ?!立って食べる?!
日本の立ち食いそばなら、時間のないときにズズズ~っとすするだけだから、立って食べてもいいかな?!と思いますが、焼肉ですよ?!それも焼きながら食べるから、時間もかかるハズ!「なのに~な~ぜ~?!立ち食い?!」と疑問に思って伺ったところ、最初にこのお店をオープンしたときは「焼肉屋」ではなく、周辺の労働者が仕事の合間にカウンターに立って一杯ひっかけていく「モンノチッ(一杯飲み屋)」で、お酒のおかずにと石油缶を利用した炭焼きの牛カルビ、テジカルビ、干したスケソウダラを出していたそう。しかし、自家用車が普及し始めた1970年代頃、車のためにお酒を控え、最初おつまみとして出していたお肉を食べに来る人が増えてきたこともあり、お店のスタイルはそのままで焼肉屋に変更、今のお店のスタイルが確立したとか。それから約30数年間、このモンノチッ(一杯飲み屋)にこだわってきたのは、その頃の気持ちを忘れずに、お金のない人が気軽に一杯飲めるお店をいつまでも残したかったからだそう。
全国にある「ソソカルビ」は100軒とも200軒とも!
このお店の人気を表しているのが、似たようなネーミング「ソソカルビ」という名前の焼肉屋さんの数!これは「ソソモンヌンカルビチッ」を真似たお店で、全国に100軒以上、いや200軒あるというウワサがあるほど。しか~し、他のお店は座って食べる「ソソカルビ」。最初は張り切って立って食べるお店をスタートしても、お客さんに何度となく「椅子を持って来て~」と言われて断念してしまうお店がほとんど。正真正銘の「立って食べる焼肉屋」はココ1軒だけだとか。ちなみにお店の名前「ソソモンヌンカルビチッ」とは、もともとお店の名前がないからジモティの間では「ソソモンヌンチッで一杯やる?!」という風に使われていて、その表現をそのままいただいたんだそう。
タンゴル(常連)は70~80代の方も!
お店の看板には「45年の伝統」と書いてありますが、実はこちら、オープンして以来50年以上経っている歴史の古~いお店。社長さんいわく「看板を変えるのが面倒でね。」とのこと。当然タンゴル(常連客)もたくさん抱えていて、中には70~80代の方も多いとか。だからといって、お客さんが年配の方ばかりというワケではなく、新村という学生街だけに学生も多いし、家族連れ、カップル、教授、駐在員など、年齢・性別・職業もほんとに幅広いんです。ちなみに、今までの客層の歴史をうかがってみると、1960年代はこの付近にタクシー会社がたくさん集まっていたから運転手さんがよく来て、1970年代は延世大学や梨大の教授、1980年代以降は今のようにいろんな人がやってくるようになったとか。
メニューは味付けカルビのみ!
こちらのメニューはソカルビ(牛カルビ)のみ!焼酎やビール、コーラはありますが、ご飯も無ければ冷麺もなし!まさにお肉とお酒を楽しむためのお店。その「ソカルビ」は1人前150gの味付けカルビで、毎朝質のいいお肉をマジャンドン(馬場洞)の畜産市場からその日に出す分だけ仕入れ、午前の間だけ味付けダレに漬けます。社長さんいわく、数日漬けたほうが美味しいという人もいるけれど、そうするとタレに漬かりすぎて色も変わり、何よりも鮮度が落ちてしまうとのこと。短時間漬けたこちらのお肉は、味付けカルビなのに鮮やかな色が残っていかにも新鮮そう。味付けもあっさり目だから、塩焼き派(味付けでない)の人にも人気らしいですョ。味付けダレの材料は醤油、ショウガ、ニンニク、ネギなど7種類のみ。「特別なものは入ってないけれど、味の秘訣といえばこの舌と配分ですね」と社長さん。
※メニュー写真は取材時のものです。
お肉を注文するとニンニク、つけダレ、青唐辛子、コチュジャン(唐辛子味噌)が出てくるのみ。キムチやサンチュなど、韓国式の「サービスおかず」はもちろんありません。
お肉を鉄板にのせたら、おばさんが適当な頃合いを見計らってカットしに来てくれます。その後は各自焼けたお肉を特性ダレに付けてお口へ。味は肉によって多少バラつきはありますが、口でとろけるようなやわらかいお肉というより、地元の人好みの歯ごたえもある程度あり、噛むと旨味と甘味が出てくるタイプ。なんせ、他のメニューがないので食べるときはお肉に集中します。お肉をもぐもぐしながら、焼酎もいつものようにチビチビ飲むのではなく、カ~ッと一気に飲み干してしまう、そんな雰囲気。
付けダレで煮たニンニクがホクホク!
ナビはもともとニンニクはあまり食べない方ですが、気が付いたらココですごい量のニンニクを食べていました。なぜならば~?!付けダレの器にニンニクをいれて炭火で煮ると、香ばしくて甘くてホクホクでうまい!焼酎にぴったりのおつまみに!お肉がなくなって鉄板が片付けられても、最後までしつ~こくいただきました。これは皆さまも是非お試しを!
お肉がなくなったら店じまい!
季節や景気によってお肉の仕入れの量を調節するということですが、1日にさばく量は牛のカルビ部位を約3対。人数にすると約300人分だそう。そのお肉がなくなるとお店は閉店。つまり閉店時間は決まっていないんです。でも、だいたいの時間を聞いてみると、焼肉屋さんにしては早い、午後8時前後。お店を開くのは決まってお昼の12時、お昼の混雑が1~2時ぐらいに収まった後、夕食のお客さんが入ってくるのが午後6時前後。この時間帯がもっとも混むそう。また、週末にバーベキューやお客さん用に数十人分お持ち帰りする人も多く、そんな時は午後5~6時に閉店。特に金曜日はお客さんも多いので、並んで待っていても途中で肉切れ~となりカルビにありつけないこともあるそう。だから、「夜遅く(午後7~8時)にお店に来るときは電話で確認してから来てください。お客さんには申し訳ありませんが、この人数でこの味を守っていくには仕方ないんです」と社長さん。
大通り沿いにあった「ソソカルビ」という焼肉屋さんが、まさにウワサのお店だと信じこんでいたナビですが、今回「ソソモンヌンカルビチッ」に伺ってその違いは歴然。まず、ほんとに立って食べるというスタイルも奇抜というか、かなりびっくりしましたが、慣れてみると独特で面白い!実際食べていると連れはもちろん、妙に周りのテーブルの人とも親近感や連帯感みたいなものを感じてしまうんです。椅子もないしテーブルはドラム缶だし、床はコンクリートで決してキレイとはいえず、ビギナーさんにはちょっと辛いかもしれませんが、地元の雰囲気を味わいたい方は1度行ってみる価値ありありのお店ですョ。以上、こんなお店がずっとのこって欲しいなぁと思いつつ、「ソソモンヌンカルビチッ」の魅力にすっかりハマッてしまったソウルナビがお伝えしました。