ヤン

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牛の第一胃。日本でいうミノ。日本ではミノは焼肉屋で食べるが、韓国では専門店いわゆる「コッチャン屋」で食べるのが一般的。大腸のホルモン(テッチャン)・小腸のホルモン(コッチャン)などといっしょに食べる。食べ方は鉄板もしくは炭焼き。半焼きの状態でハサミで適当な大きさに切った後、十分焼けたら甘辛~いタレに漬けて食べる。お店によって違いはあるものの、柔らかく調理されたミノの場合は、貝柱のような歯ざわりがあり大変美味。韓国では高級食材として扱われているため、日本より値段も少し高め。

牛にある4つの胃のうち1つ目の胃を「ヤン(ミノ)」、2つ目の胃を「ボルチッ(ハチノス)」、3つ目の胃を「チョンヨッ(千葉)」、4つ目の胃を「マッチャン(またはホンチャン)」という。中でも「ヤン」は胃を意味する韓国語である。胃は内臓のなかでも食べ物を消化する器官で、肉の部位とは違って突起が多くて固いが、長時間ゆでることによって意外と軟らかくなり消化しやすくなる。
牛一頭からとれる「ヤン」の量は300g、大きさは50cmほど。内臓の中でもおいしい部位とされている。無機質とたんぱく質を多く含み、身体の生理作用をスムーズにし、昔から汗をよくかく人や虚弱な人への強壮剤として、あるいはスタミナのつく食べ物として人気がある。特に胃の手術後にこの「ヤン」を食べると胃の機能が非常にはやく再生するともいわれ、手術後に回復期の患者が食べることが多い。また特有の香ばしさもあって、お酒好きの人が好んで食べる肴としても好まれている。
中でもヤングイ(ヤン焼き)は「ヤン」の部位でも下の部分の円筒形になった分厚い肉の部位「ヤンキッモリ(またはトゥギャン)」を指し、牛一頭からせいぜい2~3kgしかとれないとても貴重な食材。軟らかくそれでいて歯ごたえがあり、価格にかかわりなくグルメに愛されている逸品。
「ヤン」で作った料理にはほかに強壮剤がわりにいいヤンジュッ(ヤンを湯通しして細かく挽いた後、鍋で炒めてから煮込んだものを布でこし塩などで味付けした飲みもの)、スープにコクがありながらもタンパクなヤンコムタン(ヤンを煮込んだスープ)があげられる。
また2つ目の胃「ボルチッ」は肉質が固くてにおいがするが価格は安く、安いヤングイ・コッチャンクイのお店で食べることができる。3つ目の胃「チョンヨッ」は肝といっしょにサービスとして出てくることが多く、ポコポコと突き出た突起が気持ち悪くて食べない人も多いが、塩とごま油で作ったたれをつけて歯ごたえを楽しみながら食べるとなかなかいける。また4つ目の胃「マッチャン」も焼いて食べることが多い。

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