韓国の伝統菓子がほとんどがお餅。このお餅は日本のお餅と違ってびよ~んとのびない。韓国の食べ物の中で最も季節感があらわれるお餅は蜂蜜や松の実、ナツメ、よもぎ、豆などをふんだんに使い、材料本来の味がよく生かされている。韓国のお餅はお菓子としてそのまま食べることができ、ケーキやチョコレートなどよりず~っと低カロリーで健康的。種類ももち米やうるち米を使った餅菓子から、餅と言うより蒸しパンにちかいものまで味も見た目もさまざま。屋台で売っているソーセージのようなお餅、トッポッキは韓国の若い女の子に大人気。
ヤッシッ(薬食・ヤッパッ) もち米をハチミツ、ゴマ油、しょう油で味付けし、クリやナツメ、松の実などを混ぜて炊いた甘味のあるおこわ。ヤッパッともいう。ご飯と言うよりもおもちのように食べる。正月15日にはヤッパッを炊きカラスに捧げる風習が現在まで伝わっている。 |
ヤックァ(薬菓) 小麦粉にゴマ油、蜂蜜、酒、生姜汁などを入れ、混ぜ合わせて油で揚げたあと、蜂蜜を塗ったもの。甘くて香ばしく、またやわらかいので口の中にいれるととろりと溶る。韓国の伝統的なお菓子の中で最高のもの。大きさによって大薬菓、中薬菓、小薬菓と分けられ、四角に切って揚げたものは角薬菓、茶食板で型どったものは茶食菓(タシックァ)という。薬という字がついている食べ物には、ゴマ油や、蜂蜜のような体にいい材料が入っている。 |
ケヨッカンジョン(韓国風おこし) 黒ゴマ、エゴマ、ゴマ、大豆、松の実などを炒ってから水飴に入れ、それを押し固め切ったもの。ゴマ、大豆、クルミ、松の実、ピーナッツなどは蛋白質、ビタミン、脂肪分はもちろん、鉄、リンなどの無機質も豊富で、歯ごたえ十分の栄養分の高い菓子。 |
パッシルトッ(あずきの蒸しもち) 米粉とあんで作るお餅。米粉はうるち米にもち米を混ぜたもの、またはもち米のみのものを用い、あんは赤いあずきに緑胡麻などをのせて作る。 昔から季節ごと、または慶弔があるたびに作られるおもちの中でも一番多く作られ、韓国人にとって最も親しみのあるおもち。近所の人たちと分け合って食べ、現在も引っ越しをしたときにパッシルトッを作って近所に配るという風習が残っている。 |
ヨッ(飴) 麦芽と米、もち米、あわ、とうきび、とうもろこしなどの穀物を使って作る飴。ごはんを炊いて麦芽の水につけた後、長時間煮る。煮つまっていないものは水飴になり、煮つめたのは黒飴、黒飴を固まる前に何度も引っ張ったものを白飴となる。飴の甘味は麦芽から出てくる麦芽糖。江原道(カンウォンド)平昌(ピョンチャン)のとうもろこし飴、欝陵島(ウルルンド)のかぼちゃ飴、開城(ケソン)の栗飴、光州(クァンジュ)の白飴、済州(チェジュ)の鶏飴、昌平(チャンピョン)の米飴などが有名。 |
ぺクソルギ(うるち粉の蒸しもち) うるち粉に塩を混ぜて塊のまま蒸したもの。あんは使わない。昔から生まれて百日目や1歳の誕生日にペクソルギを作って親戚や近所の人たちにわけた。ペクソルギは中に何かを混ぜたりいれたりせず純白色であるため、子どもが純粋に、また健康に育つようにと願う意味が込められている。 |
セッピョン(色餅) 色が美しく、ムジゲ(虹)トッとも言われる。作り方はペクソルギと同じだが、白い米粉だけでなく色々な粉を混ぜて蒸して作る。うるち米、トウキ、ハチミツで三色にして作ることもあるし、オミジャ(朝鮮五味子の実)を浸けた水で赤い色を出したり、クチナシの実で黄色を出すなど多様。最近では粉末ジュース、ココア、パン粉などを混ぜていろんな味や色を出したりすることもある。 |
ソンピョン(松餅) チュソッ(秋夕・韓国の旧盆)といえばまず頭に思い浮かんでくるほど代表的な名節料理。米粉に熱い湯をかけながらこね、マメ、ゴマ、クリなどで作ったあんを入れてきれいに形作り、これを蒸し器に松の葉を敷いて蒸すと松の葉の香りが染みだし、またもちに松の葉の模様がつく。昔の人は「ソンピョンをきれいに作ることができればお嫁に行ってから可愛い女の子が生まれる」といい、一生懸命にソンピョンを作ったそう。 |
インジョルミ(平餅のお菓子) 雑穀類が豊富な黄海道(ファンヘド)と平安道(ピョンアンド)でよく作られていたおもち。もち米やオオアワなどの粘り気のある穀類で作る。もち米を時間をかけてついて延ばし、それを四角く切り、大豆や小豆のあん(日本のものより水分が少なく、ポロポロしたもの)をまぶす。餅をつくときにヨモギやナツメなどをいっしょに入れ、それぞれスッ(よもぎ)インジョルミ、テチュ(なつめ)インジョルミとなる。あんには大豆で作った黄色いきな粉がよく用いられるが、色があざやかな緑豆のきな粉や白ゴマ、黒ゴマなどを用いることもある。 インジョルミは消化がよくまた腹持ちもよいので、受験生や忙しいビジネスマンの朝ご飯代わりにもよく食べられている。 |