1. 日本海を越えてやってきた!プサンのフグチリは土鍋入り! |
今から2000年前、古代中国から伝わったといわれるフグを食べる習慣。宋時代の詩人、ソ・ドンパ(蘇東坡)は詩の中で「その味、死に値する」と絶賛したほど!
現在、日本でフグといえば、やはり下関が最も有名ですよね。韓国ならやっぱり釜山。他の地域に比べフグの漁場が近接しているので価格も安く、また少し厚めの刺身が特徴です。戦前にはあまり見られなかった刺身、お粥、スープといった料理は戦後になってから広く知られるようになったのだとか。
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フグ料理の文化は20世紀のはじめ、日本から韓国に伝えられました。現在でも日本式のスタイルが多く残っているのはそのためなのですね。すっきりとしたスープが魅力のフグチリは二日酔いにも効くといわれていて、朝食として食べるのもオススメです。また、日本海を越えてやってきたフグ料理を韓国風にアレンジした「フグのメウンタン(辛いフグチリ)」も大人気!その他にも、ポッチム(唐辛子やもやしで炒めたもの)やポップルコギ(フグのすき焼き)などの韓国でしか味わえないフグ料理もたくさんあるので、ぜひお試しを。ちなみにプサンのフグチリは土鍋に入って出てきますよ!
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2. フグのひ・み・つ、教えちゃいます☆ |
主に熱帯、亜熱帯海域に生息するフグですが、その種類は120~130種にもおよぶのだとか。韓国では南海の済州島周辺の海域に分布しています。食用としては、韓国では「チャンボッ」と呼ばれるトラフグをはじめ、マフグ、シマフグ、クサフグ、シロサバフグ、サバフグ、ヒガンフグ、メフグなどがあります。と、いってもよく分かりませんよね(笑)。そこでプサンナビは写真を用意してみました!最初の写真はトラフグ、次はシマフグ、最後がシロサバフグです。ほら、こうしてみるとそれぞれ模様が違うでしょう?
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一般的にフグは生殖巣が充満して太りだす晩秋から初春までが最も美味しいといわれ、冬の間は珍味として扱われるほど。フグは体を温め、血液の循環をよくするほか、筋肉の硬化を防止する働きもあり、さらにはタンパク質が豊富で乳脂肪がないので、高血圧や糖尿病、神経痛などの成人病の予防にも優れています。また肝臓の解毒作用を助け、二日酔いやアルコール中毒の予防には卓越した効果を発揮!コラーゲンも豊富なのでお肌への効果にも期待できそうです!
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フグは中国や日本、韓国、東南アジア諸国で食べられるほか、エジプトでも親しまれているのだとか。特にエジプトでは、フグの皮を使ってお財布を作ると、フグのお腹が膨れるようにお金が増えるといって人気があるのだとか。そういえば、韓国では「フグ」と「福」の発音は同じ。日本でもフグを「ふく」と呼んだりしますよね。これって偶然?!
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3.ナビの「フグの毒」講座 |
フグの毒は1909年、東京大学の田原教授によってテトロドトキシン(Tetrodotoxin)と名付けられました。この毒をうまく取り除くことがフグを調理する際の重要なポイント。フグの毒は体内で作られるものではなく、フグの餌となるヒトデや貝によって体内に取り込まれるのだとか。また、季節によっても毒の量は変わるといいます。日本では海に大きな網を張ってフグの養殖が行われていますが、養殖されたフグには毒はありません。 |
料理に含まれる微量の毒には問題はありませんが、もし、この毒を必要以上に多く摂取すると一体どうなるのでしょうか?テトロドトキシンには神経や筋肉を麻痺させる働きがあるため、軽ければ唇や指先にしびれを感じる程度。ひどい場合には呼吸困難に陥り死に至ることも…。しか~し、このフグ毒、この性質を上手く利用すればお薬にもなるのです!神経系の麻痺作用を利用して、神経痛や関節炎、リュウマチの鎮痛、破傷風の痙攣・喘息・発作などに鎮静効果を発揮。鎮痛剤、神経剤、鎮静剤として広く使われています。 |
4.スリル満点、フグチリの作り方! |
韓国では二日酔いに効くといわれていて、酔い覚ましスープとしても人気のフグチリ。その他にもお刺身にしたり、焼いたり、またメウンタン(辛いフグチリ)にと様々な調理方法で親しまれています。また、フグは調理前の手間が少々厄介ですが、料理自体は簡単に作るのが特徴。複雑な味付けをするとフグの淡白な味が消えてしまうのだとか。シコシコとして、柔らかいフグ肉。みんなが虜になるのも頷けますよね。
日本では処理されたフグが売られているので、お家でフグということも可能ですが、多くの韓国人はまだ、フグは外で食べるものだと考えています。一般化されたわけではありませんが、最近では処理済のフグも大型流通センターなどではみかけることも。しかし、買い求める人は多くはないようです。
さぁ、そろそろフグチリを作ってみたいと思いま~す。セリを入れるのが韓国式!これはぜひ覚えておいてくださいね!
シロサバフグは毒がほとんどないといわれているので、直接処理したあと料理に取り掛かりたいと思います。フグ料理のポイントは「冷たい手」!寒さに弱い人はしっかり着込んでおいてくださいね!それでは、まず処理方法からいってみましょ~う!
☆フグの処理方法☆
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冷凍されたフグを水につけて軽く解凍させたあと、腹部を上にして持ち、まず目玉を取り出します。(きゃ~~~) |
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背びれと尻尾を切っておきます。ヒレ酒に作るときの重要なポイントになります。 |
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骨がある腹部を持って皮を頭まで剥ぎます。 |
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内臓をすべて取り除き、頭を外す。 |
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頭はえらを中心に2つに割って、えらをキレイに削除するのが技術! |
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そして胴体を水につけて取り出すのを繰り返し、真ん中の骨を押して血を抜かなければなりません。これは毒を抜く方法。 |
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キレイに処理されたフグを今度は骨を中心に半分に開いて準備完了!もう一度流水で洗ったあと調理を始めます。 |
☆おいしいフグチリの作り方☆
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忘れちゃいけないもの!処理済のフグはもちろん、その他にはセリ、モヤシ、ニンニクのみじん切り、薄切りにした玉ねぎ、酢です。また、おいしいスープの秘訣ともいえる「だし」は、調理前に準備しておく必要があります。 |
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フグチリの味の決めてとなる「だし」を準備しましょう。コンブと大根、玉ねぎを入れて火にかけ、少量のお酒と塩で味付けしたあともう一度煮立たせます。 |
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きれいに洗ったモヤシを冷ましておいた出汁に入れ、強火でゆでます。このとき、ふたを閉めることをお忘れなく!(ふたをしないでモヤシをゆでると臭いが残ります) |
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煮立ってきたらふたを開けて処理したフグをモヤシの下に入れます。 |
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再び煮立ったら今度は、ニンニクのみじん切りを入れて、すっきりとした味を引き立たせます。 |
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今度はふたを開けて、ぶくぶくと泡が出てきたら中火にします。 |
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モヤシに火が通ったら酢を入れ、味を整えます。あとで、お好みで味付けできるように薄めにしておくほうがいいかも。 |
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さっぱりと味付けされたら、セリを入れて弱火でぐつぐつ…。これで完成です! |
え?なになに?韓国式の辛いフグチリ「ポッメウンタン」も食べてみたいって?フグチリとの違いはただ1つ。それは、タデギと呼ばれる特殊なヤンニョン(合わせ味噌)を入れるか入れないか。と、いうことで今度はタデギの作り方をナビが伝授しま~す!作り方はとっても簡単。粉唐辛子に少量の醤油と出汁を入れて混ぜるだけ。スプーンにくっついて落ちないくらいに練れば完成。やわらかいようだったら粉唐辛子を足してみて!
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フグチリはお好みで酢を入れていただきましょう。モヤシとセリ、そしてフグをチョジャン(酢醤油)につけて召し上がれ!日本からポン酢などを持参してくる観光客も多いのだとか。でもここは韓国。せっかくだから韓国式の食べ方もマスターしちゃいましょう!まずコチュジャンに酢、砂糖、水飴、ワインや焼酎、そしてサイダーなどの炭酸飲料を少し混ぜれば出来上がり。こちらもタデギ同様、しっかりと練ってくださいね!
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5.朝イチでフグチリ!? |
フグを刺身や鍋にして食べるのは日本も韓国も一緒。しかし、ここ韓国では最近「ポップルコギ(フグのすき焼き)」や「ポッチム(唐辛子やモヤシと炒めたもの)」などが登場したんです。韓国的フグ料理の世界はますます広がりをみせています。それでも、やっぱり一番人気は「フグチリ」。韓国のお酒の席はある種、独特のものがありますが、飲みすぎはもはや当たり前。翌日に支障が及ぶことも多いのだとか。そのため体内のアルコール成分を分解してくれるフグチリのさっぱりした温かいスープを求めて朝からお客さんが絶えません。セリが二日酔いに効くという事実も一役買っているのかな?
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