儒教の創始者、孔子の徳を讃え、追慕するための祭礼~!!
こんにちは。ソウルナビです。今日は皆さんに儒教の本山である中国にも残っていない伝統行事、「ソクチョンテジェ(釈奠大祭)」についてご紹介したいと思います。この日になると全国にある郷校(ヒャンギョ・儒教の学校)の儒林(儒者)たちが昔ながらの衣冠を整え、この行事に参席。それはまるでタイムマシーンに乗って500年、1000年前の過去に逆戻りしたかのよう!そんな錯覚に陥ってしまいます。ソウルで、いえ韓国内でもこのような光景が見られるのは本当に滅多にないこと!!だからこのカッコいい伝統儀式を一目見ようと韓国内外からたくさんの人が大祭が開かれる成均館(ソンギュンクァン)の大成殿(テソンジョン)にやって来ます。大勢の人が参加すれば騒がしいのでは?と思ってしまいますが、儀式は敬虔に、そして厳かな雰囲気の中でしめやかに行われます。それでは釈奠大祭(ソクチョンデジェ)について、詳しく見ていきましょう。
釈奠大祭(ソクチョンデジェ)とは?
釈奠大祭(ソクチョンデジェ)は韓国の重要無形文化財第85号。仁愛、礼、そして人格の完成を通して理想政治を具現しようとした儒教の創始者、孔子(B.C.552~B.C.479)の徳を讃え、追慕するための祭礼。この祭礼は孔子を祀る祠堂である文廟で行われます。ちなみに釈奠(ソクチョン)とはチェ(菜)を置き(釈)ペ(幣)を捧げる(奠)ということから付けられた名前。現在、釈奠大祭(ソクチョンデジェ)は成均館の大成殿(テソンジョン、文廟の中で孔子の位牌が祀られている建物)で孔子をはじめ、孔子の弟子(四聖)と韓国の名賢(十哲と宋朝六賢)16位の全部で21位の位牌を祀り、本来は毎年春と秋、旧暦の2月と8月のサンジョンイル(上丁日:最初の丁日)に行われます。また全国にある232の郷校でも同じ日に同時に行われます。
釈奠大祭(ソクチョンデジェ)が行われる成均館大学って?
会場である成均館(ソンギュンクァン)は李朝時代の太宗7年(1398年)に設立された儒学の最高教育機関。儒学教育と先賢に祭祀を奉るという2つの役割を担っていました。この成均館を母胎として1946年に学校法人となった成均館大学は、現在まで約60年の間、たくさんの人間を社会に送り出してきた名門大学。芸能人ではペ・ヨンジュン(ただし中退)やムン・グニョン、KARAのカン・ジヨンなど芸能人も多く在籍。ドラマ「成均館大学スキャンダル」で日本でも有名になりました。
釈奠大祭の流れ
釈奠大祭は春と秋の2回行われ、前日の行事と当日、つまり釈奠日(ソクジョンイル)の行事で構成されています。釈奠大祭のある前日は釈奠奉行に先立って文廟に告げる告由をし、釈奠奉行の関係者が集まって不浄を避け、体を清める斎戒儀を行います。それから香と祝詞を伝える儀式、伝香祝儀を行い、釈奠奉行前日の午後1時から成均館と全国郷校で同時に釈奠予備練習である習儀が行われます。習儀を終え、午後5時に祭卓に祭祀料理を並べる陳設が行われます(この陳設は翌日の朝、行われることもあります)。これで釈奠日前日の行事は全て終わり。翌日、メインイベントである釈奠大祭は次のような流れで行われます。
音楽は文廟祭礼楽、踊りは舞~!
釈奠大祭が行われる際に演奏される音楽は文廟祭礼楽、踊りは佾舞といわれます。文廟祭礼楽は文廟で孔子を始めとする儒学の大家の神位を祀り、祭祀を行うとき演奏する音楽のことで、佾舞は踊りを踊る人の数によって八(天子の時、踊る)・六(諸侯の時)・六(大夫の時)・二(士の時)に区分され、佾舞は列を意味します。現在、釈奠大祭で踊られる佾舞は八で、踊る人の数は一列に8名ずつ、全部で64名(横8名X縦8名)。毎年、八は国楽高等学校の生徒が担当しているとのこと!!(^-^)
いかがでしたか?儒教は孔子を始祖とする中国の代表的な思想で、三国時代から李朝時代にかけて韓国の歴代の王に多大な影響を与えた学問です。その儒教の創始者である孔子の徳を讃え、追慕するための釈奠大祭が中国では行われず、唯一韓国だけが伝承している事実は面白いですね。それだけ儒教が韓国に深く根を伸ばしているということでしょうか?毎年2回行われる釈奠大祭は、宗廟大祭(チョンミョテジェ)とともに韓国で現在まで受け継がれている伝統社会の国家的な行事として、衣服と音楽、踊りなどいろいろな分野で昔の姿を垣間見ることができる最高の機会!皆さんも一度、観覧してみてくださいね!!以上、ソウルナビがお伝えしました。