目で見て感じる博物館!精巧に作られたジオラマで、1960-70年代のタルトンネの暮らしにタイムスリ~ップ!
こんにちは!ソウルナビです。日本人がイメージする韓国といえばショッピング&グルメ天国、K-POPや韓流、そしてソウル市内には高層ビルが立ち並び、進んだ電子製品や家電など、華やかなイメージが強いと思います。でも、こうして豊かな国になる前、韓国にも貧しくて辛い時代がありました。今日ご紹介する「水道局山タルトンネ博物館」はそんな貧しかった時代、人々が肩を寄せ合い暮らしたトンネ(町)を再現し、文化遺産として後世に伝えようと作られた博物館。韓国という国がどんな苦境を乗り越えて現代のような先進国になっていったのか?さっそくナビと一緒にお勉強してみましょう~!
◇◆タルトンネとは◆◇
博物館に行く前に、まずは聞き慣れない「タルトンネ」という言葉の説明をしたいと思います。タルトンネとは直訳すると“タル=月”“トンネ=町”で“月の町”という意味。これは街が高い位置にあり、月が良く見える「丘の尾根や斜面などの高台に貧しい人々が集まって暮らす町」を叙情的に表現した言葉とか。1960~70年代の産業化と共に農村から多くの人が仕事を求めて都市に集中。博物館がある東仁川・水道局山の傾斜面にも、5万5千坪あまりの場所に3千世帯以上がひしめきあって暮らすようになり、当時の水道局山は仁川を代表するタルトンネだったそう。
◇◆タルトンネがあったその場所に博物館を開館◆◇
博物館があるのは地下鉄1号線のトンインチョン(東仁川・Dongincheon・160)駅から徒歩10分の場所。でも徒歩10分と言っても、ものすごい急な坂道を登って行かなければなりません。体力に自信がない方や、暑い時期には駅からタクシーを利用することをオススメします。でも、タルトンネに住んでいた方は仕事で疲れていても、こんな急な坂道を登って家まで帰っていたんですよね・・・歩くとその辛さが実感できます。
体力に自信がある方は、この坂を上ってきて下さい。
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でも坂の途中にはこんな壁画も楽しめますよ~
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博物館はこの水道局山の坂を上りきった場所にある松峴(ソンヒョン)近隣公園の敷地内に位置します。坂の中腹にはまだ昔の面影もちらほら見受けることが出来ますが、博物館がある頂上部分には現代的なアパートが立ち並び、そこがタルトンネであったとは今では想像もつきません。
タルトンネからの景色。
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公園内に博物館がありまーす!
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かつてここはタルトンネでした。
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博物館の建物をぐるっと回ると、裏側に入口があります。
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◇◆では館内をチェックして行きましょう~!◆◇
展示スペースは1Fと2Fの2フロアあります。
1F:エントランス、売店、展示コーナー、企画展示コーナー
2F:展示コーナー
◎◎エントランス◎◎博物館入口を入ると、すぐ正面にチケット売り場があります。すでにここからタルトンネの雰囲気がプンプン!良く見るとチケット売り場も“松林不動産紹介所”という看板がかかっているではないですか!う~ん、ちょっと粋な演出。しかも入場料はナント大人が500ウォンと破格の値段!(2013年8月現在)
◎◎水道局山の歴史◎◎水道局山というちょっと変わった名前は、この場所に水道の配水池が置かれていたことから来ているとか。こちらの展示ではその水道局山の名前の由来や、水道局山がタルトンネへと変貌していった歴史が紹介されています。
一部日本語で書かれた説明もあります。
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昔懐かしい品物も展示。
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◎◎タルトンネのマーケットエリア◎◎
ここからは水道局山の1971年11月、とある日の夕方6時に一気にタイムスリ~ップ!隅々まで精巧に作られたジオラマは本当にその時代に紛れ込んだと錯覚するくらい!こちらには雑貨屋や理髪店、練炭店などが再現されていて、どれもこの水道局山に実際にあった名前のお店なんですよ!お店で働く人(マネキン)も実在の人物をモデルに作られているんだそう。
ここからマーケットエリアの始まりです。
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さっそく“どん菓子”を作ってますね!
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このアジョッシも・・・
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このアジョッシも、タルトンネでは有名な方でした。
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■大地理髪店
水道局山タルトンネに実在した理髪店。この時代にも髪染めがメニューにあったなんて、ちょっと驚き~!
■松峴商会
タルトンネのデパート(?)駄菓子から袋ラーメンや缶詰、タルトンネではかなり高価?と思われるビールも並んでいます。
タバコ、お酒、塩もここで買えました。
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三養ラーメンは今でも健在です!
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うわ!駄菓子だぁ♪バターキャラメルの発音が「パーダキャラメル」になってる・・・
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韓国の味の素「味元(ミウォン)」ダシダが生まれるのは、もう少し後です。
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仕事帰りに練炭店で練炭を、雑貨屋でお米を一握り買い1日をしのいでいたこの時代、それでも行商に出た母が品物を全部売リ切ると途中でサンマを1匹買い、家族全員で食べたそう。そんな日は急こう配の坂道を上る足取りも軽く感じられたことでしょう。
◎◎タルトンネの共同スペース◎◎
狭い土地に大勢がひしめき合い、何の開発計画も無しに次々と家が建てられたタルトンネでは、トイレや水道は共同の施設でした。この時代、赤い電球がトイレの目印だったそう。朝には共同トイレに長い行列が出来ていました。
■タルトンネのポスター&掲示物コレクション
「スパイが狙っている」スパイに気を付けようというポスター。コワイです・・・
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この時代には「ネズミを一斉に捕まえる日」があったんですね。
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◎◎タルトンネの生活◎◎
ここからはタルトンネで生活する人々の家の中を見てみましょう。タルトンネの一般的な住宅はもちろん、タルトンネの中でも少し裕福な家も再現されています。家族全員で内職をする様子や食事をする様子など、現代では考えられないほど狭いスペースで家族全員が片寄せあって生活していたんですね。
家族総出で何をしてるの?
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あ!マッチ箱組立の内職をしてたんですね~
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寝室に飾られた写真には、その家族の歴史が見えます。
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壁紙補修といえば新聞紙!これは世界共通なんですね~
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■裕福層の生活
タルトンネに住んでいるのだから決して裕福とは言えないのですが、その中でも少し余裕のある家の様子が再現されています。
やはり他の家とはちょっと違う雰囲気。先代の写真も飾られてます。
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台所も道具が揃っています。
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テレビやラジオ、電話や鏡台まであります!でも部屋は狭い・・・
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家族全員で見てたのは力道山の試合でした~
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■タルトンネの路地裏
家と家の狭い隙間や道路の濡れた感じなど、細部にわたり精巧に作られているので、タルトンネの雰囲気が良く出ています。
◎◎2F展示コーナー◎◎
もともと1フロアの展示のみだった水道局山タルトンネ博物館ですが、2013年7月から2階部分にも展示コーナーが開設されました。こちらには写真館や文房具店、喫茶店などがあり、写真館では昔の制服の試着体験もできますよ!また2階から見下ろすタルトンネの様子も要チェックです!
■ウリ写真館
■チャンヨン文具
■喫茶店
この時代、パッピンスが200ウォンでした!
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壁にかかっているプレーヤーで、懐メロを聞くことができます。
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これめっちゃ懐かしい!お金を入れると星占いの紙が出てくるやつ~!
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ミュージックBOX併設のナウい喫茶店。
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■なつかしグッズ展示
サイダーなら知ってるけど、チルソンにコーラもあったんだぁ!
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昔の傘って・・・まんまビニールだったんですね。
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パッピンスの氷を削る機械。
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アイスキャンデー保管箱。なんでレーサーの絵なんだろう?!
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企画展示&お土産
◎◎企画展示コーナー(1F)◎◎
期間限定の企画展示が行われるコーナー。1年に数回テーマが変わります。ナビの訪れた日は「お母さんの針仕事」という企画展示でした。
◎◎売店コーナー(1F)◎◎
博物館の出口付近にある売店コーナーでは、懐かしのおもちゃなどを購入することができます。また壁際には昔のマンガコーナーがあって、自由に見ることができますよ~!
お店に人がいない時は、チケット売場に呼びに行ってね~
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ワンダーウーマンもいました!
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韓国ではガッチャマンが「ハゲワシ5兄弟」という名前なんですよ~(笑)
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マンガ本の展示もいていて、閲覧自由です。
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いかがでしたか?今ではすっかり豊かになって、こんな時代があったのがウソのような韓国。パンフレットには「高度成長を体験した韓国では、いつしかこの時代を振り返るのが流行のようになってしまった」と書かれていました。でも恵まれた時代に生まれた私たちは家族や隣人同士が共に助け合い、強い絆で結ばれていたこの時代の人々から学ばなくてはならないことがたくさんあるようにと思います。貧しさから脱出しようと1日1日を真剣に生きたタルトンネの人たちがいたからこそ今の韓国があり、私たちもこうして楽しく旅行できることを忘れてはいけないと強く感じました。以上、1971年の水道局山タルトンネから、今日はちょっとマジメなソウルナビがお伝えしました~!