2012年8月リニューアルオープン!朝鮮王室の歴史と文化がすべてここに!
こんにちは!ソウルナビです。韓国の歴史の中で伝統文化を継承、発展させる重要な役割を担ってきた王室文化。朝鮮王朝のさまざまな制度や生活がよくわかる宮中遺物は民族の貴重な文化遺産ですよね。今日はその宮中遺物を実際に見ることのできる「国立古宮博物館」をご紹介しましょう!ここで保管されている朝鮮王室の歴史と文化にかかわる文化財はなんと4万点余り!ここに来れば朝鮮王室の歴史と文化を一気におさらいできてしまう、そんな博物館なんです。それでは半年をかけた工事が終わり、新しくなった古宮博物館を、さっそくご紹介しましょう~
もともと博物館は1992年12月、王室の文化遺産を集めて体系的に管理&展示し、社会教育の発展に寄与する目的で徳寿宮内に「宮中遺物博物館」として誕生。その後2005年8月に「国立古宮博物館」として現在の場所である景福宮横に移転しオープン。2007年11月にはそれまでワンフロアだった展示場を3つのフロアに拡大。さらに今年(2012年)2月からは6か月かけて12室あった展示室を10室に整理し、展示物も約900点から2,000点余りに増やして、この8月にリニューアルオープン。より多くの展示物がより見やすい形で展示されるようになりました!
館内案内
国立古宮博物館は地下1階から地上2階までの3フロア。正面玄関は2階にあり、2階から1階、地下1階と降りていきながら見学できるようになっています。館内には10の常設展示室のほか2室の企画展示室、映像室があり、またカフェレストランや売店、広い休憩スペース、ロッカー、授乳室、救急待機室など便宜施設を完備しています。
■■館内地図■■
<2階>
① 第1室「朝鮮王朝の国王」
② 第2室「朝鮮王朝の宮殿」
③ 第3室「王室の生活」
A 企画展示室Ⅰ
<1階>
④ 第1室「王室の儀礼」
⑤ 第2室「大韓帝国と皇室」
⑥ 第3室「天文と科学Ⅰ」
B カフェ『コグントゥラッ』
C ミュージアムショップ
D 映像室
<地下1階>
⑦ 第1室「王室の絵画」
⑧ 第2室「宮廷の音楽」
⑨ 第3室「王室の御幸」
⑩ 第4室「天文と科学Ⅱ」
E 企画展示室Ⅱ
施設案内
まずは展示室以外の施設を階別にご紹介しましょう。
<2階>
○総合案内所
総合案内所は正面玄関を入ってすぐ左に。韓国語のほか、日本語、英語後、中国語のパンフレットもあり。それから、携帯できる音声ガイドもここで借りられます。無線式になっているので目の前にある展示物の説明を自動的に聞けるとか。貸りる時はパスポートなど、身分を証明できるものを預ければOK。
○コインロッカーと救急待機室
インフォメーションデスクの後方に設置されています。コインロッカーは大き目の荷物も入れられる縦長サイズもあって便利。じゃまになる荷物はここに預け、じっくり見学しましょう!また、コインロッカーの隣りには緊急事態に備えた救急待機室もあります。
<1階>
○ミュージアムショップ
博物館に来た記念品やお土産などがそろっています。ステキな伝統工芸の商品もいっぱい。
○カフェ「コグントゥラッ」
広々としていて、オシャレなインテリアのステキなカフェ。コーヒーなどの飲み物や伝統茶で見学の合間に一息つけます。食事メニューもあり。ちなみにこちら、博物館に入場しなくても地下鉄駅から直接行くこともできます。
○映像室
王朝時代に関する映像が上映されており、自由に観賞できます。
○授乳室
乳児連れでも安心して利用できる施設もあります。
<地下1階>
オシャレになった広々休憩スペースがフロアの真ん中にあります。
展示場案内
展示室は2階と1階にそれぞれ3室、地下1階に4室。それぞれの展示室のテーマなどをざっとご紹介していきましょう。
<2階>
国王を中心とした朝鮮王朝の歴史と記録物、そして宮殿とそこで生活した王室一家の生活に関する遺物が展示されています。
■第1室「朝鮮王朝の国王」
国王の権威と正統性を示す象徴物やさまざまな記録物を展示。2012年にリニューアルされてから、王の御真影が保管されている昌徳宮(チャンドックン)璿源殿(ソンウォンジョン)内部の龕室(保管されている場所)や、奎章閣(キュジャンガッ)王室図書館など実際にはなかなか見ることのできない王宮内の施設が再現されたコーナーも設けられています。
王室図書館を再現したもの
■第2室「朝鮮王朝の宮殿」
景福宮(キョンボックン)、昌徳宮、徳寿宮(トクスグン)、慶煕宮(キョンヒグン)、昌慶宮(チャンギョングン)といった朝鮮王朝の五大王宮をはじめとする王宮建築の歴史と特徴が分かる資料や宮殿建築遺物が展示されています。
■第3室「王室の生活」
衣装などの装飾品、家具、陶器といった生活用品など、実用性と装飾性を兼ね備えた朝鮮王室の生活遺物を展示。どこよりも高貴で威厳があるべきとされた王室では、洗練されていて高い品位をもつ道具が使われてきました。最高の職人による最上質の材料で作られた各種器物のほか、生活用品も王室の権威を表すものが使われ、展示品から当時の様子が伺えます。家具や衣服などなじみのあるものが展示されているため、朝鮮王室をより身近に感じることができる展示室です。
英親王妃の翟衣(礼服)
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英親王妃大三作ノリゲ(装飾品)
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宮中ポジャギ(パッチワークの風呂敷)
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明成皇后の書簡と詩箋
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<1階>
国家儀礼である五礼に関する遺物の展示室、大韓帝国期の歴史に関する展示室、さらに天文図など朝鮮王朝時代における天文科学に関するものの展示室と合わせて3つの展示室があります。
■第1室「王室の儀礼」
朝鮮王朝の統治理念である五礼に関する遺物や、当時の様子を再現したものが展示されています。五礼とは国が行ってきた五つの儀礼のことで、吉礼(めでたい儀式、祝祭)、凶礼(喪中での儀式)、軍礼(軍隊で行う礼式)、殯礼(客のもてなし)、嘉礼(めでたい冠礼)のこと。
朝鮮13代明宗王の胎室
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朝鮮王朝の婚礼に関わる遺物
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■第2室「大韓帝国と皇室」
1897年、清による冊封体制から独立し、1910年からの日本統治時代に至るまでの短い時代。それまでの王号の使用をやめ、国号を「大韓帝国」とし、当時の王であった高宗は皇帝に即位しました。この大韓帝国時代の遺物と皇室の写真などを展示。
この大韓帝国時代の遺物として、展示室の外にも皇帝・皇后の御料車が展示されています。
■第3室「天文と科学Ⅰ」
朝鮮王朝における天文科学の歴史と記録物を展示。下の階の展示室「天文と科学Ⅱ」に置かれている「自撃漏」(水時計)の模型の全体を上からみることもできます。
<地下1階>
華麗な宮廷絵画や宮廷儀礼に使われた楽器を集めた展示室、外出時に使われた輿や儀仗物の展示室、さらに科学分野に関連する展示室の、合計4つの展示室があります。
■第1室「王室の絵画」
宮中を美しく飾った装飾屏風と宮中のようすを描いた絵画の展示室。美しくきらびやかな屏風や絵画は王室の権威をも表しています。
日月五峰図屏風
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朝鮮通信使が日本から持ち帰った日本絵画の屏風
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■第2室「宮廷の音楽」
朝鮮時代、宮中で使われた楽器類や楽譜などの宮中音楽について資料や、当時の舞踊に関する資料も展示されています。宮中音楽や舞踊は宮廷での礼祭や各種行事の際に演奏されたそう。
高麗時代に宋から輸入され、朝鮮時代に使われた編鐘
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宮中舞踊の舞法を記した本
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■第3室「王室の御幸」
王たちが外出するときに乗った御駕(輿)と儀仗を展示。儀仗とは外出や儀式の際に使われる装飾的な武器や武具、旗などのこと。
■第4室「天文と科学Ⅱ」
朝鮮王朝の医学と時計の歴史に関わる遺物や資料を展示。世宗大王の時代に作られた自動水時計「自撃漏」を再現した模型も展示されています。
≪自撃漏≫
世宗大王の命を受けて蒋英実が完成させた自動水時計を復元し展示しています。国民に労働や就寝などの時間を知らせ、生活のリズムを管理することは王にとって重要な仕事。社会の秩序を守るために民衆へ正確な時間を知らせる時計は、権威と秩序の象徴であり、時刻の管理は王にとって統治手段の一つと考えられていたそう。「自動で時を知らせる時計」という意味の自撃漏は、三国時代から利用されてきた水時計を自動化したもので、1434年7月から国家の標準時計に。展示されている自撃漏は縮小・復元したもので、時を知らせた太鼓などの鳴り物やそれを鳴らす人の模型などで、どのように使われたのかを説明しています。
※一般の観覧客は模型の中に入ることはできません。
いかがでしたか?朝鮮王室に関連した遺物を一挙に集めただけあって、見ごたえはかなりのもの!「朝鮮王朝って?」と今までなじみがなかった人も、見学をしているうちに王室が身近に感じられるようになりそう!また展示室の中には古宮を背景にしたフォトスポットがあったり、映像を使って紹介したりするコーナーもあるので、休憩がてら利用されても良いかも。さらにiPadで展示物の説明を見られるコーナーがあったり、日本語の無料ガイドツアーも1日1回行われていたりするので、上手に利用してくださいネ。以上、新しくなった「国立古宮博物館」からソウルナビでした。