扇子舞、サムルノリなど韓国を代表する伝統芸術舞台!
こんにちは!ソウルナビです。ソウル旅行計画、限られた日程の中でいかに楽しむか!スケジュール作りに頭を悩ませる方もたくさんいらっしゃると思います。そこで今日は、せっかく韓国に来たんだから、韓国的なもの、韓国の伝統を感じられるものをスケジュールに加えたい~という方に1つ提案!韓国の伝統公演鑑賞なんていかがでしょうか?開発されて、年を重ねるごとにめまぐるしく変わっていく今のソウルとは対照的に、韓国に昔から伝わる踊りや音楽に浸ってみるのも思い出になると思いますョ!場所はソウル中心部の忠武路(チュンムロ)駅前、韓国の文化財としても指定されている歴史のある建物「コリアハウス」。ココで毎晩行われる「伝統芸術公演」です!
「コリアハウス」
ソウルの中心部にあるコリアハウスは、朝鮮時代の死六臣の1人、朴彭年の私邸として、日本植民地時代には総督府の政務総監の官邸として、また韓国政府を樹立した後は、国内外の貴賓を迎える迎賓館として利用された場所。現在コリアハウス内にある韓国の伝統家屋は1981年、ソウル最大の古宮「景福宮(キョンボックン)」の慈慶殿をモデルに、申応寿(韓国重要無形文化財)が手掛けたものだそう。こちらで伝統芸術公演、伝統宮中料理、キムチ作りなど、韓国の伝統文化を体験できるさまざまなプログラムを運営し、韓国の伝統文化を紹介するテーマ空間として親しまれています。
毎晩行われる伝統芸術公演
「コリアハウス」ではさまざまな伝統文化体験プログラムが運営されていますが、中でも人気のプログラムが伝統芸術公演。毎日夕方、施設内の専用公演場「民俗劇場」で韓国の代表的な民俗舞踊と伝統音楽などいくつかの舞台を一度に楽しめます。公演の内容は人間文化財でもある古典舞踊家とコリアハウスの舞踊団による太鼓踊り、サルプリ、太平舞、サムルノリ、仮面踊り、扇子舞、カヤグムなど。観覧客は外国人がほとんどなので、舞台右横の電光掲示板に日本語、中国語、英語の説明もあり。これを見ながら舞台を観ると、ビギナーの方でも分かりやすいと思いますョ!
公演時間:
(月-土曜日)1部19:00/2部:20:50
(日曜日)20:00
休館日:なし
公演内容の一部をご紹介~。 演目は毎月少しずつ変わるそう。
プチェチュム(扇子舞)
民俗的な儀式舞踊をもとに発展した伝統舞踊。鮮やかな宮中衣装に花の飾りがついた冠をかぶり、流れてくる伝統音楽の旋律に合わせて扇を広げたり閉じたり、またたくさんの扇を連ねて動かしたり、華やかで美しい踊り。
ムーダンチュム(巫堂踊り)
宗教儀式の踊りの一つ。この踊りは呪術性が高い踊りで、左にぐるぐる回りながら無我の境地に達し、神様と交信し、とんとん跳ね回ります。手には、扇と鈴を持って踊ります。
カヤグン
日本のお琴のような楽器カヤグンの合奏。日本の琴とよく似た音色ですが、演奏方法が(と、いうよりも音の作り方が)ちょっと違うよう。
パンソリ
李氏朝鮮時代から伝わる長編の物語を太鼓のリズムにあわせて歌として物語るオペラスタイルの民俗家楽。重要無形文化財第5号として指定されています。
サランガチュム(愛歌舞)
1940年代、近代舞踊家チョ・テグォンが踊った近代舞踊の一つ。パンソリの春香歌の中でも春香とドリョウの愛のストーリーを舞踊で表現した作品。
サムゴム(三鼓舞)
体を後ろに大きく反らせたりしながら3つの太鼓を演奏。また、太鼓の皮のところを叩くだけではなく、太鼓のふちや、ばちの音なども巧みに取り入れながら演奏がすすみます。
シナウィ
シナウィは南道の巫俗音楽から由来しているもので、カヤグン、コヌンゴ、牙箏、奚琴、笛、大琴、杖鼓、ジンの8つの楽器で構成されています。合奏の途中に、それぞれの楽器の音色が充分に生かされた独奏の部分もあり、韓国の昔からの楽器の音色が楽しめます。
サムルノリ
「サムル」とはコェンガリ、チン、チャング、プッの4種類の楽器を表し、「ノリ」は楽しむという意味。それぞれの楽器でリズムをとりながら、農民の悲しみと喜びを表現する踊り。
☆金曜日は人間文化財の方の公演あり!
※現在、特別公演はなくなり、月-土の19時公演にて一部人間文化財の方の舞台が楽しめます。<2009.4.8>
毎晩行われている伝統芸術公演ですが、毎週金曜日の一部公演は特別公演「コリアトップアーティスト公演」。これは普段行われている公演を少し短くし、なんと!韓国の重要無形文化財に指定されている方たちの舞台を楽しむことができてしまうんです。現在(2006年5月)、チョヨンム(処容舞)、サルプリ、京畿民謡、パンソリ、ヨンソンノリ、テグムなどそれぞれの分野の伝承者が6名いらっしゃり、その月のスケジュールに合わせて1人ずつ舞台を披露してくれます。これは貴重な舞台ですよね!
~テグム散調の人間文化財でいらっしゃるイ・センガン先生に突撃インタビュー!~
まず、テグムとは竹製の共鳴楽器のこと。新羅時代にはチュングム(中グム)、ソグム(小グム)と共に三竹といわれ、もっとも長くて細いものがテグム(大グム)。特に三国史記によると新羅にこのテグムの曲が324曲にも及んだとか。そして、チャング(太鼓)という韓国伝統音楽の伴奏に合わせて演奏する器楽独奏曲がつまり「テグム散調」。う~ん、ナビには何だか難しい~ですが、テグム演奏は時代や演奏家によってさまざまな演奏法が生み出され、その中でも「テグム散調」は1971年に重要無形文化財に第45号に指定され、その時の演奏家が今日ナビがお会いするイ・センガン先生の師匠の師匠。つまり先生は重要無形文化財である「テグム散調」の伝承者でいらっしゃるんです。今回はお忙しい中、公演の前にお時間をいただいてお話しを伺いました!さっそくインタビューすたーと!
ナビ:いつごろからテグムを始められたんですか?
先生:私は実は日本で生まれ、国楽に関心のあった父の影響で5歳のときから笛を吹いていました。その時も普通なかなか音のでないといわれた笛を、私は簡単に操ってしまったんですね。周りに驚かれたほどでしたから。
ナビ:お父様が国楽演奏家だったんですか?
先生:いいえ。ただ故郷、韓国が恋しくて韓国の音をいつも傍らに暮らしていました。
ナビ:では、どのような経緯でここまで来られたんでしょうか?
先生:9才のときに韓国に戻り、釜山で暮らすようになったのですが、父親はトラックで魚屋をやりながら全国各地を回り、それは一方でテグムの師匠を探すことが目的でもあったんです。私も父親と一緒にまわりながら、ときにトラックの上で笛を吹いていると通りがかりの人がコインを投げるんです。その当時、子供心に乞食と思われたととても嫌だったんですが、実は魚はほとんど売れず、投げ入れられたコインの方が儲けられたんです(笑)。そして10歳のとき、全州駅でテグムを吹いていたら偶然、テグムの名人に出会い、それから本格的にテグム散調を習い始めたんです。
ナビ:今までずっとですか?
先生:はい、今私は70歳なんですが、今までこのテグムを手放したことはありません。
ナビ:え!!失礼ですが、70歳には全く見えません。お若く見えます。何か秘訣でもあるんでしょうか?
先生:ありがとうございます。私は師匠から習ったテグム散調ももちろん忠実に守っておりますが、さらに自分の音楽をいつも追及しております。古い物だけに固執するのではなく、新しい音楽にもいつも目を向け耳を傾け、クラシックとのクロスオーバー公演など他のジャンルの音楽にも挑戦して参りました。それが自分にとって喜びでありテグムを続ける理由の1つでもあります。そして若さの秘訣でもあるんではないかと思います。
ナビ:今までどれぐらいの公演をなさってきたんですか?
先生:韓国国内はもちろん海外にも出向き、海外公演だけでも1000回以上にはなると思います。特にメキシコオリンピック,ミュンヘンオリンピック、88オリンピックの閉幕式にサルプリチュムの伴奏を行いました。
ナビ:テグム散調とは独奏曲と聞きましたが、伴奏をなさる場合もあるんですね。
先生:近代に入ってテグム演奏は大部分、他の国楽演奏の伴奏として舞台に上ることはあっても、メイン奏者としてではありませんでした。しかし、不思議なこともあるんですね。私がフランスに海外公演に行ったとき、ちょうど予定していたメインの奏者が遅れていて、その間の時間をもたせるために私がテグム独奏を披露したんです。その時観にきていたフランスの観客が感動して、テグム散調の独奏舞台に招待されたことを契機に、韓国国内でもテグム独奏舞台が脚光を浴びることになったんです。
ナビ:このコリアハウスでの公演はいつ頃から始められたんですか?
先生:オープンとほぼ同時にです。こちらは外国の方々に韓国の伝統文化を紹介する施設であり、私の意を実現できる場だと思ったこと、そしてコリアハウスでは何よりも韓国の伝統文化をとても大事にしています。韓国国内、海外の公演も平行しながら、こちらで金曜日の一部に行われる特別公演に、毎週ではありませんが参加しております。
ナビ:今まで多くの人々に韓国の伝統文化、テグム演奏を伝えてこられた訳ですが、テグム演奏をしながら一番、喜びを感じるときはどんなときですか?
先生:70になった今でも舞台によって出来が違います。それがテグムの楽しさでもあるのですが、はやり舞台が上手くいったとき、会場の観客に言葉は通じなくても韓国の音楽、伝統の音色を伝えることができたとき、一番喜びを感じます。
ナビ:今日はお忙しいところ本当にありがとうございました。今から行われる舞台、とても楽しみです。これからもいい舞台をたくさんの人に見せてくださいね。
先生:ありがとうございました。
インタビューを終えて・・・先生はいつも音楽に関しては貪欲で好奇心に満ちていて、お話しされるときの表情をみてもまるで少年のような目の輝きを感じました。この後に先生の舞台を拝見させていただいたのですが、音を出すこと自体難しそうなテグムを自由自在に操り、ただの音ではなく心の響きがこもっているというか・・・胸にひびく演奏でした。
「コリアハウス」の伝統芸術公演は毎日行われていますが、もしスケジュールがあえば、金曜日の特別公演に足を運ばれてみるといいと思いますョ!また演奏後には劇場の外で出演者と記念撮影もできます。記念に一枚、いかがですか?以上、ソウルナビでした。
ソウルナビでも公演予約、そして伝統韓定食とセットになったツアー予約も出来ますョ!詳しい内容は記事の右上の「予約する」をクリックしてくださいね!