群山、近代文化遺産めぐりの旅!

日本と深い関わりのある地方都市群山、レトロな雰囲気を求めて出かけてきました!

こんにちは!ソウルナビです。今回、ナビは全羅北道(チョルラプット)の群山(グンサン)という地方都市に行って来ました。群山は日本ととても深い関わりのあるところで、19世紀末から1945年の終戦まで最盛期には約1万人の日本人が住んでいた街。なので、現在でもたくさんの日本家屋や遺物が残っていて、どこか懐かしい風景をあちこちで見ることができます。2009年頃から群山市は市内に残る近代文化遺産を観光資源として保存と活用に力を入れているとのこと。またワタリガニのしょうゆ漬けがかなりおいしいというウワサもよく耳に入ってくるので、そのウワサも本当かを確かめるべく!(それがメイン目的だったりして・・・)歴史のお勉強もかね1泊2日で行ってきました!

群山一日目、思ったより結構近い!

今回ナビは江南(カンナム)のセントラルシティバスターミナル(ソウル高速バスターミナル湖南線)から出発。朝8時発のバスに乗り、買っておいたキンパブをほおばります。途中、天安(チョナン)の休憩所で15分ほど休憩し、群山高速バスターミナルに朝10時30分に到着しました。おお、予定通り!

カメラ好きの聖地、京岩洞レール村

まず最初に向かったのは、「京岩洞(キョンアムドン)レール村」。Eマートとアパートの間にある約1キロの廃線レールに沿って、古い住宅が並んでいる場所です。その1950年から70年代のノスタルジックな風景は、韓国のドラマや映画、ミュージックビデオにたびたび登場。いい風景が撮れるとアマチュア写真家がたくさんやってきます。線路はもともと2.5キロあり、1944年に製紙工場へ原料を運ぶために作られた工場線だったそう。戦後、荒れ果てた工場跡の土地に貧しい人たちが家を建て、現在のような村が誕生。一時は撤去の話が持ち上がりましたが、今は市が保護を決定するほどの群山を代表する観光名所になっています。線路っていいですよね、ロマンとノスタルジーがうまく混ざって。
素朴な暮らしぶりが伝わってきます

素朴な暮らしぶりが伝わってきます

練炭は庶民に欠かせないアイテム

練炭は庶民に欠かせないアイテム

群山の旧市街地を回ります!

■近代歴史体験空間
タクシーに乗って旧市街と呼ばれる市の西側へ。向かったのは月明洞(ウォルミョンドン)の「近代歴史体験空間」というところ。こちらは日本の昔の町なみが住宅街にどーんとあらわれた!というニュースを見て、チェックしていたホットプレイス。なんでも昔の日本家屋を市が買い取り、1930年代のデザインに沿ってリモデリング。カフェやゲストハウス、セミナールームなどが入った文化空間として2012年11月にオープンしたとか。いやー、なんとも不思議な風景にくらくら。エリアの中央には日本庭園(風?)の池があり、その周りを茶色と黒の町家風の日本家屋がぐるりと囲んでいます。ナビはこちらのゲストハウス「古友堂(コウダン)」にさっそく泊まることに決め、荷物を置かせてもらいました。
昔料亭だったという家をリモデリング

昔料亭だったという家をリモデリング

カフェもおしゃれ

カフェもおしゃれ

まさに日本にいるよう

まさに日本にいるよう

二人部屋。畳ですよ〜

二人部屋。畳ですよ〜

新興洞(シヌンドン)、月明洞(ウォルミョンドン)は、ここは本当に韓国なの?と思えるほどあちこちに古い日本家屋が残っています。道路も統治時代に整備されたためか、碁盤の目のようにまっすぐなんです。2階部分がまるまる金沢かどこか?と言いたくなるようなコンビニも。負の遺産だからできれば見たくない・・・という人もいますが、古さを生かしたお店もポツポツと見かけます。

■旧広津家屋(新興洞日本式家屋)
旧広津家屋は、統治時代に米穀商として財をなした広津吉三郎が建てた(案内板の「反物商の広津継三郎」は間違い)、木造二階建ての日本家屋。映画「将軍の息子」や「タッチャ(いかさま師)」の撮影地としても有名です。なんだかすごい家があるなあとびっくりしていたら、それが広津邸でした!広い庭は将来長男夫婦が別棟を建てられるように、と確保していたらしいです。それにしてもすごい造り!1階はオンドルだったといいますが、寒くなかったのかなあというのが正直な感想です(笑)。韓国人観光客もすごいを連発していましたよ。

■東国寺(トングクサ)
1909年に日本人が布教所を作り、1913年に錦江寺という曹洞宗の寺として開院。韓国に唯一残っている日本式寺院です。終戦後は米軍に没収された後、1947年に払い下げを受け東国寺と改称、1970年には韓国の曹渓宗の寺になって今に至っています。
境内にある記念碑を見て、歴史の重みを感じながらもお腹がへったナビ。繁華街へと移動します。

■李盛堂(イソンダン)
1945年創業の、韓国で一番古いベーカリーショップ。1920年、日本人が経営していた「いづもや」という製菓店のあった場所に終戦後、今のオーナーの義父がオープンした店だそう。人気の品はあんパンと野菜パン。この二つのパンを求めてなんと行列ができているではないですか!お昼はここでという考えは甘かった!なので夕方に来て翌朝のためにそぼろパンとクリームチーズパンを何とかゲットして終わりました。

群山のカンジャンケジャンを堪能!

ここでナビ、急遽予定を変更、ワタリガニのしょうゆ漬け(カンジャンケジャン)が食べられる食堂「ハンジュオク」へ。こちらは日本家屋が立ち並ぶ静かな住宅街にあります。ワタリガニのしょうゆ漬け白飯(コッケジャンペッパン)はワタリガニのしょうゆ漬けの他に、季節の魚の刺身、魚の辛いスープ(メウンタン)と数種類のおかずがついてきてとってもお得。基本2人前ですが、ナビは今回一人旅だったので特別待遇で一人前で出してくれました~
※魚の辛いスープぬきで1人前を出してくれますが、混んでる時などは断られることがあります。
カニの身はとろとろで、甘味があってやはりウワサ通りウマウマー。漬けダレが控えめな塩気でまろやか。カニの甘さがうまく引き出されています。生臭さがまったくなく、カンジャンケジャンデビューをするにももってこいな一品。一人でウマウマーと声を出し、かなりあやしいナビに。でも、それくらいおいしかったです!野菜もたっぷりですしね。

海沿いの大通りを散策

おなかがいっぱいになったところで、海方面へ移動。暗くなる前に回ろうと焦るナビ。なんだかんだでもう4時半をまわっている!急ぎ足で見て回ります~

■旧群山税関本館
1908年に建てられた旧群山税関本館は群山のシンボル的存在。ベルギーから建築資材を運んでドイツ人の設計により建てられました。韓国に残る三大西洋古典主義建築の一つで、現在は湖南関税展示館として一般開放されています。週末は10時から13時までの開館で中には入れませんでした。

■群山近代歴史博物館
2011年9月に鳴り物りでオープンした博物館。旧群山税関本館の隣りにあります。1階の海洋物流歴史館では物流・流通の要衝地だった群山の新羅から朝鮮王朝時代の海洋文化を紹介。2階は一般市民の寄贈展示室、3階は企画展示室と近代生活館に分かれています。1930年代の統治時代の群山の様子を再現した近代生活館は、テーマパークのような雰囲気ですが、展示内容に歴史の重みをひしひしと感じてしまいます。日本の食糧不足を補うため、肥沃な湖南平野でできた米が群山から運び出されました。そのため小さな港町だった群山が発展したのです。

■歴史文化通り、旧長崎十八銀行、旧朝鮮銀行群山支店
博物館の近くにあった日本家屋数棟がリモデリングされ、歴史文化通りと名付けられました。カフェや群山の特産物展示販売コーナーがあります。同じ並びに1907年に群山で最初にできた旧長崎十八銀行、1923年日本人建築家が設計して建てられた旧朝鮮銀行群山支店が。この二つの銀行、2年ほど前までは荒れて放置状態でした。朝鮮銀行は2012年12月現在、もう少しで工事が終わりそう。
旧長崎十八銀行

旧長崎十八銀行

旧朝鮮銀行群山支店

旧朝鮮銀行群山支店


■浮橋および鎮浦海洋テーマ公園へ
海沿いを東へと進むと見えるのが港の浮橋。日本統治下に1926年から1938年にかけての築港工事で作られた橋で、4基のうち3基が残っています。海水の水位に合わせて橋の高さが変わります。また、鎮浦(ジンポ)海洋テーマ公園にはタンクや戦闘機、軍艦などが展示されていて、見ごたえあり。ナビはアメリカ製のタンクの上に上り、夕方だったせいもあり一人旅している自分に酔ってみたりしました(笑)
3基が残る浮橋

3基が残る浮橋

鎮浦海洋テーマ公園のタンクたち

鎮浦海洋テーマ公園のタンクたち


さてさて、かなり遅めのティータイムを「佐川ホンチャカゲ」ですることに。場所は李姓堂の近くで、佐川という名前からもわかるように、昔日本人が経営していた質屋の横にあるのが店名の由来。蔵がでーんと建っていて、日本式庭園がバーンとあるというなんともインパクトのある店ですが、店内はとってもおシャレで、韓国の地方にあることを忘れてしまいそう。紅茶をオーダーするとクッキーのお茶うけもつき、価格がソウルに比べると安くてナビは感動。ニナスというフランス紅茶ブランドの一杯でした。

群山、二日目は少し遠出

歩き回ってだいぶ疲れたので夜8時にゲストハウスに到着、9時にはばったりと寝てしまったナビ。翌朝8時頃に起きて、ゲストハウスのスタッフオススメの店で朝ごはんを食べることにしました。

■ハニルオクシクタン
見てください、このインパクトのある看板を!旧広津家屋を見て住宅街をブラブラしていたときに、目に飛び込んできて、これは「何かあるに違いない」とは思いましたが、オススメの店がまさにここだったのでした!看板のハルモニ(最初おじさんかと思った)が作る大根と牛肉のスープが人気メニュー。素朴で小さな食堂かと思って中に入ると・・・店はうなぎの寝床のように長く、朝早くから地元のお客さんでいっぱい!大根と牛肉のスープはほっこりとした家庭の味。他のスープメニューも充実してました。
朝からがっつりいただきます

朝からがっつりいただきます

ちょうどよい柔らかさの大根と牛肉

ちょうどよい柔らかさの大根と牛肉

海苔はいくら食べてもOK!

海苔はいくら食べてもOK!

お腹がいっぱいになったあとは、すぐ近くにある月明山(ウォルミョンサン)へ運動もかねて行ってみることに。
■海望窟(ヘマングル)
1926年に日本人によって作られたトンネル。旧市街地の中心(現在の中央通り)と水産業の中心地だったエリアをつなぐために作られました。長さ131メートル、高さ4.5メートル。トンネルの周りにも古い日本家屋があちこちに見られるのですが、ハン・ソッキュ主演の映画「8月のクリスマス」に出てくる小学校や写真館がこの近くだと後で知りました。かなり有名な撮影場所ですよね。ガーン。

■月明山(ウォルミョンサン)公園
市民の憩いの場である月明山公園は、月明山をはじめ複数の山が連なった総面積約77万坪の大きな公園。ハイキングコースも充実していて湖や寺もあって見所も多く、公園のところどころに彫刻や独立運動家の銅像や碑がたっています。眺めも良くて群山の市街地が一望できます。桜の木がたくさんあり、春はお花見の名所としてたくさんの観光客が訪れるそう。ナビも春になったらまた来たいな~
お次は市の東側の田舎に行ってみることに。群山市内のバスは1時間に1本が基本で本数が多いところでも30分に1本です。土日・祝日は本数が半分になり2時間に1本というところも!というわけで移動手段としてはタクシーを強力にオススメします!ナビはバスの時刻表をネットでチェックしてうまく乗れたものの、不慣れな土地で目的地を過ぎてしまい、結局タクシーで戻りました。とほほ。

■シマタニ金庫
降ろされたのはごく普通の小学校。少々不安になりながら裏に回ると、五重塔や石塔、動物の石像が並んでいました。そして少し離れたところにいかつい日本風の蔵が。この蔵は1920年に群山の大地主だったシマタニアソヤが作ったもの。韓国の美術品コレクターだった彼は全国から集めた美術品をこの金庫に入れて保管したと言います。3階建てのコンクリート製で、扉は強固な鉄製、錠前もアメリカ製。財力ををうかがわせます。こちらは登録文化財第182号に指定されています。

■李永春家屋
車が行き来する道路にもどり、タクシーをつかまえ向かった先は看護学校。見渡す限り田んぼが広がる中に突如現れる看護学校と養老病院。その理由が何かというと、韓国の近代保健衛生の父と呼ばれる李永春(イ・ヨンチュン)の家があり、韓国初の看護師養成学校がこの場所に作られたから~李永春の家屋はもともと群山の大農場主熊本利平という日本人が建てた別荘。熊本農場の小作人らを診る医者として熊本利平に呼ばれた李永春は、1945年以降この別荘を自宅として使用しました。日本様式と西洋様式がミックスされたとても珍しい建物で、ドラマ「砂時計」や「野人時代」の撮影地としても有名なんです。
群山高速ターミナルに戻ってきたのが13時ちょっとすぎ。帰りはソウルの良才(南部バスターミナル)行きのチケットを買い、バスに乗り込みました。いかがでしたか韓国の地方都市に残る近代文化を訪ねてまわるテーマ旅行。その魅力が少しでも伝わったらナビは嬉しいです!ソウルからバスで2時間半の群山を旅行先の候補に入れてみるのもいいかも?以上、ソウルナビがお伝えしました!

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2013-01-07

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