ソウルの町中に川がよみがえる!
こんにちは、ソウルナビです。2003年7月1日からソウルでは歴史的な工事が始まります。それは清渓川(チョンゲチョン)復元事業!これは清渓川路の上を走る清渓川高架道路に取り壊し、以前ここを流れていた清渓川を復活させるという大事業。もし東京で首都高速道路を壊して元の川に戻します、となったらたいへんな大工事になりますよね?この事業、完成は2005年12月の予定。これから2年間、清渓川復元のためにソウルの中心部で大工事が行われます。ふだんから交通量が多い清渓川高架道路がなくなり、その下を走る清渓川路も車線が減るなど特に交通面で多大な影響を受けることは確実。そのためにソウル市では迂回路を作ったり、一方通路にしたり、シャトルバスを走らせたりとさまざまな対策を打ち出しています。そのあらましも一緒に紹介しましょう。
清渓川復元事業とは
清渓川は以前、鍾路(チョンノ)と乙支路(ウルチロ)の間を流れていた川でした。しかし川にふたをして上に道路が走るようになり、さらにその上に高架道路が作られ、川は完全に暗渠となっていました。しかし、1968年に建設された清渓川高架道路が築30年を経て老朽化が目立ち、数年前から補強、大型車両の通行が規制されるなどの対策がとられましたが、そのままでは危険な状態となりました。そこでこの高架道路を作り直すか、以前ここに流れていた川を復元させるかで議論となり、昨年(2002年)の市長選挙で清渓川復元を公約に掲げたイ・ミョンバク市長が当選。一気に清渓川復元事業は具体化することになりました。高架道路を撤去し、河川を復活させる都市再開発事業では世界でも例がなく、世界的にも注目されています。
工事の概要
復元事業では高架道路を撤去し、以前流れていた清渓川を復元します。工事区間は東亜日報前から新踏(シンタッ)鉄橋間の5.8km。高架道路の撤去工事は2003年7月から、河川の復活工事は今年(2003年)11月から始まる予定。全事業の完了は2005年12月予定です。工事は以下の段階を経て行われます。
○ 高架道路撤去 : 2003年7月~2004年1月
○ 構造物補強工事 : 2003年11月~2004年2月
○ 橋梁工事 : 2003年11月~2004年7月
○ 用水工事 : 2004年9月~2005年3月
○ 造景工事 : 2004年10月~2005年10月
○ 付帯施設等工事 : 2005年9月~12月
復活する清渓川
新しい清渓川は洪水対策のため、深さは現在より2~2.5m掘り下げ、川幅も10~30mになります。水深も30cm以上を予定。そのために1日に必要な水9万3700tを地下水と漢江(ハンガン)から引いた水でまかなうそうです。また新しい清渓川には歩道専用の橋が2個、歩道車道兼用が5、車道専用が14個、合計21個の橋が造られます。橋のデザインはすでに公募が行われ、455点の応募から優秀作が撰ばれました。また李朝時代に清渓川にかかっていた石橋「水標橋(スピョギョ)」も復元されます。川の両側には自転車道路と散策路、休憩空間がつくられ、また堤と道路には木が植えられます。
3つの違うデザイン
清渓川は2kmずつ3つのエリアに分けられ、エリアごとの個性を生かしたデザインとなります。
1) 大平路(テピョンノ)~清渓4街(チョンゲサーガ)
滝がある都市的イメージ。
2) 清渓4街~清渓7街(チョンゲチルガ)
飛び石橋や菖蒲群落のある、都市と自然が調和した東大門ファッションタウンの休憩場所としてのイメージ
3) 清渓7街~新踏(シンタッ)鉄橋9街
アシ群落、オギ群落、植物観察の道、水辺の休憩所や指圧歩道のある、自然公園のイメージ
といった具合に新しい清渓川路は現在のお店がひしめく清渓川路の姿からは想像もできない、緑あふれた都心の空間に生まれ変わる予定。またソウル市では周辺の特徴を生かした開発が企画されているようです。また現在ある清渓川路周辺の市場を文井洞や九老への移転させる話もあるようですが、工事自体に対する反発も根強く、今後どうなるかはわかりません。。
工事中の交通対策
工事の間、一番影響を受けるのが交通。7月1日0時から清渓川高架道路4車線と清渓川路8車線中4車線が通行禁止になります。
ソウル市では清渓川路への車を迂回させるために既に様々な対策を打ち出しています。今後も状況によりさまざまな対策をとる予定だそうです。いままでとは違った車の流れが随所で見られるようになるかもしれません。
○ 市内バス路線の迂回
−清渓川運行路線は12路線に、15路線が迂回。
○ 一方通行、右/左折禁止の解除
−韓国銀行前、鍾路5街など
○ 新しい迂回道路の開通
−乙支~馬場連結路(東大門野球場裏)
−トゥムゲッキル(漢南洞~聖水洞)
−馬場路~往十里キル河辺車路
○ 一方通行の実施
−大学路と昌慶宮路が一方通行に。
(大学路12路線存続、14路線が迂回。昌慶宮路18路線存続、6路線迂回)
○ 無料シャトルバスの運行
−3路線運行
無料シャトルバスの運行
復元工事で影響を一番被るのが清渓川路両側で店を開いている人、特に市場の人たち。市ではその対策として、清渓川と近くの駐車場を結ぶ無料シャトルバスを走らせることになりました。バスは2003年6月15日から既に運行されています。あとでくわしく説明するとして、今日は簡単に無料シャトルバスを紹介しましょう。
<バスはこんなかんじ>
見た目は大きめのマイクロバス。マウルバスとほぼ同じです。
無料シャトルバスは現在3路線が運行されます。
<第1路線>
鍾路3街から5街、東大門運動場まで足を伸ばすときに便利!
路線 : 鍾路4街−鍾路5街−清渓川−鍾路3街−鍾路4街
運行時間 : 6:00~24:00
運行間隔 : 10分
所要時間 : 20分
バス停 :
鍾路4街(宗廟駐車場)[チョンノサーガ]
鍾路5街(新韓銀行)[チョンノオーガ]
鍾路5街(東西薬局)
広蔵市場(南3門)[クァンジャンシジャン]
照明商街前[チョミョンサンガアッ]
清渓川4街(アセア劇場)[チョンゲチョンサーガ]
セントラル観光ホテル[センチュロルクァングァンホテル]
ソウルシネマタウン(鍾路3街)
鍾路4街(現代投資信託)
鍾路4街(宗廟駐車場)
<第2路線>
なんといっても朝の3時まで運行が魅力。乙支路3街から歩けば明洞、鍾路まで足を伸ばすこともできます。
路線 : 東大門市場−乙支路3街−清渓3街−東大門市場
運行時間 :11:00~朝3:00
運行間隔 :10分
所要時間 :30分
バス停 :
訓練院駐車場[フルリョンウォンチュチャジャン]
芳山市場[パンサンシジャン]
乙支路5街(乙支路4街駅)[ウルチロオーガ]
乙支路4街[ウルチロサーガ]
大林商街[テリムサンガ]
乙支路3街駅[ウルチロサンガヨッ]
清渓3街[チョンゲサンガ]
清渓川4街(ソウル駐車場)[チョンゲチョンサーガ]
清渓4街十字路前[チョンゲサーガサゴリアッ]
清渓川5街(芳山市場)[チョンゲチョンオーガ]
平和市場カ棟[ピョナシジャン・カドン]
平和市場ナ棟[ピョナシジャン・ナドン]
平和市場マ棟[ピョナシジャン・マドン]
斗山タワー[トゥサンタウォ]
東大門運動場[トンデムンウンドンジャン]
乙支路6街[ウルチロユッカ]
訓練院駐車場
<第3路線>
こちらも朝の3時まで運行が魅力。いままで東大門市場から行きにくかった黄鶴洞、新堂洞へ無料でいけるのも魅力です。
路線 : 東大門市場−黄鶴洞−新堂駅−東大門市場
運行時間 :11:00~朝3:00
運行間隔 :10分
所要時間 :36分
バス停 :
東大門運動場
新平和[シンピョナ]
清渓7街(東平和)[チョンゲチルガ]
青平和(青平和衣類卸売り市場)[チョンピョナ]
三一アパート14棟[サミルアパトゥ・シッサドン]
清渓8街[チョンゲパルガ]
三一アパート19棟[サミルアパトゥ・シックトン]
三一アパート23棟[サミルアパトゥ・イシッサンドン]
黄鶴洞[ファンハットン]
黄鶴十字路前[ファンハッサゴリアッ]
中央市場前[チュンアンシジャンアッ]
城東機械工高[ソンドンキゲコンコン]
新堂駅(10番出口)[シンダンヨッ]
東大門運動場駅[トンデムンウンドンジャンヨッ]
東大門運動場[トンデムンウンドンジャン]
東大門総合商街[トンデムンチョハッサンガ]
東大門市場[トンデムンシジャン]
芳山市場[パンサンシジャン]
KT(韓国通信)
東大門運動場
ソウル市では清渓川復元広報館を設置し、地下鉄の駅に案内板を作るなど、さまざまな広報活動を繰り広げてきました。また復元事業スローガンの募集や公聴会、イベントなどさまざまな場所で市民への事業への理解につとめてきました。この清渓川復元事業の模様はナビでも今後、お伝えしていこうと思います。それでは清渓川高架道路がなくなる姿がまだ想像できないソウルナビがお伝えしました。
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上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2003-07-01