韓定食

ハンジョンシッ/한정식


「定食」といえば"トンカツ定食"や"うどん定食"などメインの料理にご飯やおかずが付いてるお得なセットメニュー、というイメージがありますが、韓国で言う「韓定食(ハンジョンシッ)」はと~っても意味が幅広く、形もいろいろ!値段も料理の内容もずいぶん違うんです。簡単にいえば韓定食は"コース料理"、あるいはおかずがたくさん出てくる"ご膳系メニュー"のこと。中でも代表的な料理は高級韓国料理のフルコース、 "宮廷料理" 、韓国の家庭の味を1度に数十種類味わえる "田舎定食"!そしてその二つの要素をミックスした現代版の韓定食、"伝統韓定食"など。これらの韓定食をぜ~んぶひっくるめると値段の開きも5,000ウォンから100,000ウォンを越えるものまであるんですよね。ではそれぞれの料理を詳しくご紹介しましょう!

○宮廷料理

~李朝時代に王が食べていた高級韓国料理のフルコース~
宮廷料理とはもともと李朝時代、王様が食べていた料理で、各地方から献上された最高の食材料を使った料理。その年の収穫物の味と状態を確認し、百姓たちの近況と対策まで考えた国政の一部でもあったとか。現在の宮廷料理は実際に王が食べていた料理よりも豪華なものらしいですが、"韓国伝統料理のフルコース"として、お粥や白キムチ、サラダなどの前菜料理、九折坂、神仙炉、ノビアニ、蒸し大正エビなどの肉魚料理、そして食事、デザートなどが一品一品じっくりと楽しめます。辛い料理というイメージである現在の韓国料理とは違い、食材本来の味を生かした素朴な味で、彩りを考えたキレイな盛り付けが特徴。料理の数も30種を越えるものもあります。メニューは、"宮中(クンチュン)"や"水剌(スラ)"などの名前がつき、値段は1人前50,000~100,000ウォンほど。現在"宮廷料理"の専門店は高級店で、地元でも高級料理として知られています。

お店の雰囲気:高級レストラン/サービスも良い
予約:必要予算:ランチ20.000~30.000ウォン/ディナー35.000~100.000ウォン
料理(おかず)の種類:30種類前後(コースやお店によって違いあり)。
*その他、ランチに10000ウォン前後の定食メニューがあるところもあり。  

○伝統韓定食

~高級官吏(両班:ヤンバン)が食べていたコース料理~
海の幸、山の幸あり!の韓国料理フルコース!伝統韓定食は李朝時代に発達した宮中料理をもとに家庭料理の要素をミックスしたもので、王朝時代の高級官吏(両班・ヤンバン)たちの間で食べられていたという料理。でも昔のままの料理を提供しているところは少なく、お店ごとに伝統料理をベースにした新しい料理を開発、現代人の口に合う韓定食にしたお店が多いのが特徴。出てくるお料理は前菜からメイン、デザートまでいろんなお料理が楽しめる韓国伝統料理のフルコース。地元の人にとっても客をもてなしたり会食の時に食べに行くようなちょっと高級料理にあたり、味付けは"赤くて辛くて濃い!"というイメージがある現在の韓国料理と違い、食材の味を楽しめるようにあっさりとした味付けになっています。また山海の珍味と旬の野菜をたっぷり使った手の込んだヘルシー料理が多く、目で見てもキレイで食べても美味しい料理。値段帯は20,000~80,000ウォン。

お店の雰囲気:高級レストラン/サービスも良し
予約:必要予算:ランチ20.000~30.000ウォン/ディナー3,5000~100,000ウォン
料理(おかず)の種類:30種類前後  *お店やコースにより違いがあり。
* その他、ランチに10000ウォン前後の定食メニューがあるところもあり。

~宮中料理や韓定食でよく出てくる料理~

<前菜料理>

クンジュンアンジュ(宮中おつまみ)
これは最初に出てくる乾き物。お皿に少しずつ手の込んだおつまみがのって出てきます。松の実やくるみ、豆、ナツメ、干し柿など、日本のおせち料理にもありそうなおかず。
*宮廷料理で出てくるメニュー
クジョルパン(九折坂)
宮中料理、伝統韓定食の定番&人気の前菜料理。この九折坂とは料理を盛る9つに分けられた漆器の名前。牛肉や卵、そして旬の五色(赤・黄・青・白・黒)に合わせた5種類の野菜を細く切って炒め、全8種の材料を器の真ん中に盛られたクレープで包んでマスタードソースに付けて食べます。
チュッ(粥)
これも、宮中料理や伝統韓定食で決まって出てくる料理。カボチャ粥のところが多いけれど、お店によってはゴマ粥だったり、松の実粥、あわび粥、マツタケ入りだったりと違う。このお粥を食事の前に食べると、疲れた胃を保護してくれるし、消化も助けてくれるそう。
タンピョンチェ(蕩平菜)
これも、定番の前菜料理。緑豆の寒天や野菜などをゴマ油やからしなどで味付けした和え物。ノンカロリーの寒天や野菜などを材料にしたヘルシー料理。
ペッキムチ(白キムチ)
キムチといえば"辛い"というイメージがありますが、宮廷料理に前菜として出てくるキムチは"白キムチ"といってさっぱりとしたスープも一緒に味わう日本の漬物風。お店によってはピリッと辛味のきいたものもありますが、これで食欲がぐぐっと沸いてきます。

<メイン料理>

へムルヨリ(海鮮料理)
値段が高くなるほど材料が高級になります。代表的なのは、アワビ料理、焼き魚、チャンオグイ(ウナギ焼き)、テハチム(蒸し大正えび)、ホンオチム(ガンギエイ蒸し)、蒸しカニ、カンジャンケジャン、お刺身など。
コギヨリ(肉料理)
代表的な肉料理はカルビチム(カルビ蒸し)やカルビグイ(カルビ焼き)、トッカルビ、ノビアニ(ロース味付け肉)、ユッケ(牛刺し)など。
シンソルロ(神仙炉)
宮廷料理や伝統韓定食の中でも代表的な人気メニュー。牛肉、大根、人参、豆腐、白身魚、卵、クルミ、銀杏、松の実、椎茸などを彩りよくシンロルロ(神仙炉)という鍋に盛り、牛肉のスープを入れて煮て食べるもの。もともと鍋の名前が料理の名前になったとか。
チョン(チヂミ)
お馴染みの"海鮮チヂミ"のように大きなものではなく丸くて食べやすい小さなもの。 緑豆生地のものや野菜や海鮮などを細かく刻んだものが入っていたり、お店によって種類も多様。

<食事>

シクサ(食事)
韓国では地元の人が焼肉を食べに行く時、お酒と一緒に肉をある程度食べた後に食事タ~イム!となるのですが、韓定食でも、前菜料理、メイン料理を一通り食べた後、ご飯にチゲ、そしてキムチやナムル、塩辛などのおかずを頂きます。

<デザート>

フシッ(デザート)
食事の後は甘いものでシメ!ヤックァ(薬菓)やソンピョンなどの韓国の伝統菓子や果物、そしてシッケ(お米のジュース)やメシルチャ(梅茶)、オミジャチャ(五味茶)などの韓国伝統茶が出てきます。

○郷土料理・田舎定食

~お手頃な韓定食~
お手頃韓定食は山野菜中心の素朴な定食!ご飯とチゲ、あるいはメイン料理に10~20種類以上のおかずが一度にテーブルにずらりと並びます。おかずの内容は韓国の家庭で食べる山野菜のナムル、キムチ、魚の煮物、卵焼き、海苔、塩辛などの家庭料理。味はゴマ油や唐辛子、醤油、ニンニクなどで味付けされた、まさにご飯がイケルおかずばかり。値段によっては肉や魚介類を使った料理が2~3品出るところがあったり、お店によっては地方から材料を取り寄せたこだわりの郷土料理を味わえるところもあり。特にご飯にこだわって、高麗人参やナツメ、栗などを入れて炊いた石焼き営養ご飯や、韓国でも有名な薬水(ミネナルウォーター)で炊いた石焼きご飯で有名なお店もあります。メイン料理にたくさんおかずがついてくる定食は、特にソウルの仁寺洞(インサドン)に専門店がたくさんあり、定食だけでなくほかの単品メニューなどもあり。

よく出るおかず

岩のりの酢のもの

岩のりの酢のもの

キュウリのナムル

キュウリのナムル

イカの辛し炒め

イカの辛し炒め

シメジときのこ和え

シメジときのこ和え

ホバクのジョン

ホバクのジョン

ジャコの唐辛子炒め

ジャコの唐辛子炒め

キムチ

キムチ

イカと蟹かま

イカと蟹かま

ワケギの辛し和え

ワケギの辛し和え

もやしのナムル

もやしのナムル

ゴマの葉のナムル

ゴマの葉のナムル

サツマイモの蔓

サツマイモの蔓

ゼンマイ

ゼンマイ

焼き魚

焼き魚

イカの塩から

イカの塩から

厚揚げ

厚揚げ

サンチュの辛し酢和え

サンチュの辛し酢和え

山ごぼう

山ごぼう

三つ葉のナムル

三つ葉のナムル

天ぷらの細切り和え

天ぷらの細切り和え

つる人参

つる人参

セリのナムル

セリのナムル

レンコン

レンコン

モロキュウ、青唐辛子

モロキュウ、青唐辛子


お店の雰囲気:お店は普通の食堂風だったり、藁ふき屋根に田舎小物なのがインテリアとして飾られた田舎風のお店が多く、素朴でのんびり出来る雰囲気。
予約:大型店舗の場合、特に週末は予約を入れた方が良い
予算:5,000~20,000ウォン
おかずの種類:10~20種類
*一般食堂の場合、定食メニューの他にキムチチゲやテンジャンチゲなどの普通の食事メニューもあって、田舎風だとドンドン酒やマッコルリといった伝統酒とパジョンやセンソングイ(焼き魚)といったお酒のつまみとして食べられる伝統一品料理などもあり。  

○その他の韓定食

-山菜定食(サンチェチョンシッ)
肉料理がほとんどなく、主に山野菜や豆などを材料に使ったナムルやキムチなどのおかずがたくさん出てくる韓定食。おかずの数は15~30種類。値段も10,000~100,000ウォンまでといろいろ。
-仏教料理(精進料理)
昔からお寺でお坊さんが食べていた料理を韓定食として開発、肉・魚料理はなく、唐辛子などの調味料をほとんど使わないのが特徴で、辛くなく薄味の素朴な料理が楽しめます。おかずの数は約20種類。

●公演も楽しめるお店!

韓定食専門店の中でも食事と一緒に韓国の伝統公演を楽しめるところもあり。そういうお店はツアーにもなっていて、日本人をはじめ外国から来た人に人気のコースでもあり。お店によって伝統舞踊を楽しめるお店、伝統音楽の演奏を楽しめるお店などいろんなお店があり、店内には公演用の舞台も設置されていて、公演時間が決まっているので行く前にチェックしてから行きましょう。

~韓定食に関するQ&A~

料理の出方は?
昔の伝統韓定食は西洋料理や中華料理とは違い、全ての料理が1度にテーブルに運ばれるスタイルだったそう。でも最近は特に本格的な高級韓定食レストランになるほどスタイルは西洋料理のフルコース。前菜からメイン、デザートまで順番にサービングしてくれます。1つ1つの料理を見て楽しみ、味わいながら、ゆっくりとおしゃべりを楽しめる優雅な食事の一時を過ごします。また逆に5,000ウォンほどの安い韓定食は1度にテーブルに運ばれてきます。おかずがなくなってしまったときはお替わりしてもOK!全体的に野菜中心の素朴なおかずばかりなので、別注文で肉や海鮮料理の単品メニューがあるところもありますョ。

予約&注文は?
コース料理なので注文は2人前以上が基本。特に宮廷料理や伝統韓定食などの高級店の場合は予約をして行った方が良いでしょう。せっかく楽しみにしたいたスペシャル食事タ~イムが、席がなくて台無しになってはいけませんものね。外国人もよく利用するので、日本語や英語が可能なお店も多いですが、心配な場合はホテルで代わりに予約してもらう手もあり。5,000ウォン前後の格安定食の場合は1人前からの注文もできるところもありますが、こちらも基本的には2人前以上です。

宮廷料理のお店での服装は?
高級韓国料理ということでほとんどが高級店。伝統韓服に身を包んだスタッフのきめ細かい心遣い&高級感漂うインテリアやお店の雰囲気、そしてホテルのレストラン並みのサービス、これらを考えるとやっぱり、基本的に小ギレイな服装で行った方がマッチするのではないかと思います。でもだからと言って正装が必要な訳ではなく、地元の人も外国人観光客も実際ラフな格好の人も多いです。要はもっとも気分よく食事の出来る格好で行くのが1番!ですね。

"韓定食"といえばいろんな料理がありますが、それぞれ値段もお店も雰囲気も違うんですよね。小ギレイなお店で高級料理を楽しむ"宮廷料理"&"伝統韓定食"、庶民的な雰囲気で気軽に食べる"田舎御膳"、伝統舞踊を楽しみながら料理を食べるお店など、いろいろありますのでお目当てのところをチェックして、是非行って見て下さいね。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2000-05-14

ページTOPへ▲

関連記事

寺刹式韓定食のお話

寺刹式韓定食のお話

ちょっと特別なお寺の韓定食 !

その他の記事を見る