"カムジャタン"とは、豚の骨の中でもしっぽと背骨を長時間ぐつぐつ煮込んだスープをベースに粉唐辛子とゴマ、ニンニクでピリッと辛みのあるコクスープを作り、それにネギやエゴマの葉、ぶつ切りのジャガイモ(韓国語でカムジャ)を入れて煮た鍋のこと。名前のカムジャタンは直訳するとジャガイモ鍋になりますが、メインはスープの染み込んだビックな豚の骨付き肉!骨に薄っすら付いたお肉をホジホジほじくりながら食べるのがやっぱりカムジャタン!食事ととしてもお酒にもぴったり!また、お酒を飲んだ後に小腹が空いたな?!という時に食べてもよし!カルシウム満点のスタミナ料理です!
そもそもカムジャタン(グッ)の歴史とは?
三国時代(313~716年)の頃、特に豚肉で有名だった現在の全羅道(チョルラド)地方から全国各地に広がった料理。その当時、畑仕事をする時に貴重な"牛"の骨の代わりに"豚"の骨を煮て患者やお年よりに出したところ、病気の治療と予防に役立ったのが始まりとか。また近代、ソウルと港がある仁川(インチョン)を結ぶ京仁線(1899年開通)建設工事の現場で、全国から集まった労働者向けに作られた料理"ピョへジャングッ(豚の背骨の酔い覚ましスープ)"と"カムジャタン"が仁川を代表する料理として定着していったそう。
カムジャタン通り
「カムジャタン」といえば、最近は仁川が有名らしいんですが、ソウルにも地元の人に親しまれている「鷹岩洞(ウンアムドン)&碌磻洞(ノッポンドン)カムジャタン通り」があります。元祖カムジャグッ通りのノッポンドンは、お店がだんだん少なくなり、最近はここノッポドンから1.5kmほど離れたウンアムドンの方がカムジャグッ通りとして栄えています。現在、ノッポドンには1軒のみ<2008年3月>、そしてウンアムドンには約7軒ほどのお店が軒を連ね、ウンアムドンには専門通りらしく「ウンアムドンの名所・カムジャグッ通り」という立派なアーチが建てられているのですぐに分かると思いますよ!この通りの特徴は、お店の看板に「カムジャグッ」と書かれてあること。「カムジャタン」と「カムジャグッ」、この「グッ」と「タン」の違いはスープの量の違いだという説もありますが、見た目は変わりません。また、カムジャタンのお店はたいだい24時間営業&年中無休なので、1次会、2次会、3次会、4次会…とカムジャタンが食べたくなったらいつでもゴッ!
カムジャタンができるまで!
今日はこのおいしいカムジャタンがどうやってできるのか?!カムジャタン専門店の厨房をちょっと覗いてみたいと思います。場所はソウルの市内中心部にあるカムジャタン専門店、「プンニョンカムジャタン(豊年カムジャタン)」!地下鉄1・2号線シチョン(市庁)駅から徒歩1分、チョンウォンスンドゥブ本店の手前にあり、場所柄サラリーマン御用達のお店。外観も中も、かなり年季の入った30年伝統のお店です。
材料(4人前の材料の目安)
肉や野菜系の材料は豚の背骨(1kg)、ジャガイモ(4つ)、たまねぎ(大1)、ネギ(2本)、エゴマの葉(1束)。そしてスープに入れる調味料用の材料が粉唐辛子(大さじ1)、ニンニク(4つ)、ソコギダシダ(顆粒の牛肉ダシ大さじ1)、塩(少々)コショウ(少々)、トゥルケ(大さじ1)。
※野菜の下準備:ジャガイモは下ゆでしておき、タマネギはザク切り、ネギは3センチの長さに切り、ニンニクはみじん切り、トゥルケは摺っておきます。
~豚骨スープ作り~
豚の背骨が浸るぐらいたっぷり鍋に水を入れ、ぐつぐつ強火で約1時間半、ゆでて浮いてきた脂や灰汁を取ります。
*豚の背骨はゆでる前に冷たい水に1日ほど浸けておき、ゆでる時に1回目の水は1度捨ててから新しい水でゆでると手間はかかるけど豚の臭いが減るそう。
~スープの味付け~
出来上がった豚骨スープに粉唐辛子、ニンニク、塩、ソコギダシダなどを入れ、さらにタマネギ、ネギ、コショウを加えて1時間半ぐらい煮たらスープの出来上がり! *トゥルケやコショウ以外にショウガを入れるとさらに臭みが取れます。
~煮る~
このスープ(豚の背骨肉も)と下ゆでしたジャガイモ、エゴマの葉を鍋に入れてテーブルでぐつぐつ10~15分ほど煮たら完成!あとはお皿によそって、味の染み込んだ淡白な豚の背骨肉とホクホクのジャガイモをいただき!
"カムジャタン"の食べ方
○ 2人前以上の場合は"カムジャタン"
その1.普通に食べる
カムジャタンは食べる人数に合わせて少し違います。まず2人以上で食べる場合、大、中、小から人数に合わせて大きさを選択し、テーブルの上に置かれた卓上コンロで煮ながら食べるのが一般的。だいたい小が2人前、中が3人前、大は4~5人前。途中でスープをおたまですくって野菜にかけながら煮ると全体に早く火が通ります。ぶつ切りのジャガイモは下ゆでしてあるので、約10~15分ほど煮れば食べごろ。1人1人小皿によそって食べますが、骨についたお肉、これはホジホジほじってきれいに食べるのが地元風。
その2.チャーハンにしてもらう
大きな豚の背骨肉をほぼ食べ終わったらご飯、海苔、キムチ、ゴマ油などをお鍋に入れて炒めてもらいます。カムジャタンのコクスープに香ばしい海苔とごま油の香り、そしてピリッとキムチがミックスしたチャーハンはお腹がいっぱいでも食べれちゃうおいしさ。これが地元流のカムジャタンの食べ方!
○ 1人の場合は"ピョダギヘジャングッ""ピョダギカムジャタン""ピョダギタン"
1人で食べる時は"ピョダギへジャングッ"あるいは"ピョダギカムジャタン(ピョダギタン)"という1人用のメニューのあるお店で注文することができます(値段はだいたい4,000~5,000ウォン)。特に"ピョダギタン"と言えばジャガイモが入らずに豚の背骨肉とウゴジ(大根の葉)が入ったスープのことをいいます。煮た状態で出てくるのですぐ食べられますが、食事として食べるのでチャーハンやラーメンなどはありません。二日酔いにも効くし、食べやすいし、地元で人気のランチメニュー!
<カムジャタンを食べる時の注意>
カムジャタンをテーブルの上で煮ながら食べるとき、ジャガイモや豚の背骨肉、ゴマの葉や野菜などが鍋からあふれんばかりに盛られて出てくるので、煮ながらスープが煮こぼれしないように気をつけましょう。またスープが飛びちる可能性があるのでエプロンがあるところは利用しましょう。それから豚の背骨肉はお肉よりも骨がでかい!小皿によそってお肉をほじった後、そのままにしていたら食べにくくてしょうがないですよね。お店によっても違いますが、だいたい骨入れ用のボールを一緒に持ってきてくれるので、食べた後の骨はどんどんボールに移しましょう!
ちなみにカムジャタンにマッチするお酒は?!といえば地元ではやっぱりソジュ(焼酎)。ピリッとする濃い目のコクスープと豚の背骨肉&ホクホクジャガイモが焼酎とぴったりなんですよね(^-^)ソウル中心部にあるお店だと夜11時ぐらいで閉店してしまうお店もありますが、カムジャタンの専門店が集まっているカムジャタン通りに行けば24時間営業&年中無休のところがほとんどなので便利ですョ。皆さんも1度本場のカムジャタンに挑戦してみてくださいね!
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2000-05-14