夜、ソウルの繁華街を歩いていると焼肉屋や夕方頃から現れる屋台、いつもにぎわってますよね。そこでは毎晩のように地元の人が酒盛りをしている楽しそうな姿が。だいたい飲んでいるお酒はソジュ(焼酎)。アルコール度が23度前後、ビールの4倍ほど強いお酒をストレートでワンショッ(一気)!している姿、よく見かけます。それでもって次の日ちゃんと学校や会社に行っている、、、という話を聞くと、韓国の人ってほんとにお酒が強いんだなぁと思っていましたが、実はそんな時、地元の人はサウナに行ったり、へジャングッという酔い覚ましのスープを食べるそうなんです。
"ヘジャングッ"として地元で親しまれているスープ!
もともと「スルクッ(飲み屋でつまみとして出される味噌汁)」と言われていましたが、1945年8月15日の解放以後、二日酔いを解消してくれるという意味で「ヘジャン(解腸)グッ(スープ)」という名前に変わったんだそう。繁華街で"へジャングッ"のハングルを探すと、へジャングッ専門店やへジャングッメニューを扱っているお店が意外にたくさんあるんです。特にヘジャングッの専門店は朝早くから夜中まで営業しているところが多いのも特徴。やっぱり二日酔いになるほど飲む、ということは前日かなり遅くまで飲んだ証拠。その後に食べるとなると、やっぱり夜中から明け方はお客さんが多いんですよね。
ヘジャンクッといえば、ソンジへジャングッ!
単にヘジャンクッといっても地方ごとに材料や調理方法が違い、その味も千差万別。例えばソウル地方のヘジャングッは牛の骨でじっくり出汁をとったスープに味噌を加え、豆もやし・大根・白菜・ネギなどを入れて煮た後、さらにソンジ(牛の鮮血)を加えてじっくり火を通した"ソンジヘジャンクッ"が代表的。"牛の鮮血"というとちょっと引いてしまいますが、見た目は赤黒い塊。ソンジだけを食べるとちょっと生臭くて食感はゆで卵の白身?!という感じですが、一緒にいろんな野菜や薬味が入った味わい深い味噌風味のスープです。このあっつあつのスープをふうふうしながら勢いよく食べると、汗とともにアルコールも抜けた感じで、二日酔いもかなりよくなること間違いなし!
いろんなヘジャングッ
ソンジへジャングッ以外にも酔い覚ましのスープとして地元の人が食べるメニューはいろいろあります。まず、豆もやしの入ったシンプルな"コンナムルグッ(豆もやしクッ)"、干したスケトウダラでだしをとった"プゴグッ(スケトウダラクッ)"、ほうれん草の茎がたっぷり入った"シレギヘジャングッ"、へジャングッというイメージよりもカムジャタンに近いような"ビョ(骨)タグィヘジャングッ"、貝でだしをとったシンプルな"チョゲ(貝)グッ"などいろいろあり。
<オルゲンイへジャングッ(タニシ入りの酔い覚ましスープ)>
<オルゲンイへジャングッ(タニシ入りの酔い覚ましスープ)>
100年の歴史を誇る"へジャングッ通り"
昔からソウルの"ヘジャングッ通り"として有名なのが、"チョンジンドン(清進洞)へジャングッ通り"。地下鉄1号線のチョンガッ(鐘閣)駅から徒歩3分、ソウルでも有名なグルメ店が並ぶ通りにへジャングッの専門店が現在3軒だけ残っています。ここは1960~70年代頃、 "清進洞ヘジャングッ通り"として賑わっていた通り。今は食文化も多様化し、周りにたくさんのグルメ店も誕生した現在、専門店もずいぶん減ってしまいましたが、地元の人にとって無くてはならない昔からの味を味わる通りなのです。
へジャングッの食べ方
へジャングッ、特に牛の血の塊が入った"ソンジへジャングッ"は、内臓が入っていたり、ソンジの塊が入っていたりして、見た目もグロいし味も独特。しかし、これに唐辛子ベースの薬味や胡椒を入れると、臭味や内蔵などの臭味も消されてとっても食べやすいんです。お店によっても違いますが、お好みに合わせて薬味を足してから食べるのがポイント。だいたいクッパッのように初めご飯が中に入った状態で出てくるところが多いですが、別々に出てくるときもあります。地元の人が好むのはご飯をスープに中に入れたクッパッ式。これは食べやすいし消化もいいですョ。
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2000-05-14