朝鮮木家具大展 【2002年】

生活の中のデザインを実現した朝鮮時代伝統木工家具の最高名品を鑑賞しよう~!

こんにちは。ソウルナビです。今日はめったに見ることができない朝鮮時代の伝統木工家具の名品がずらりと勢ぞろいした「朝鮮木家具大展」ご紹介します。約30の国公立博物館、私立美術館、個人所蔵家などの協力を得、韓国的自然美が生きている李氏朝鮮時代の伝統木工家具の、中でも名品だけを選んで展示しているんだそう!今回の展示の目的は、木工家具のさまざまな姿を皆さんにお見せすること、ではなく、木目と面分割によってにじみ出た朝鮮木工家具の純粋な美と、その中に込められた先人の生活の知恵を感じてもらうこと!なんだそうです。かなり期待しちゃいますよね!?(^-^)それではソウルナビといっしょに朝鮮時代の伝統木工家具がどんなに美しいか見に参りましょう!


朝鮮当時の社会と文化、美意識が感じられる代表的な作品181点が展示
今回展示されている朝鮮木工家具は、当時の人々の生活様式、つまりオンドル構造による平座式生活様式、使用場所、使用用途などを念頭において作られたもの。木材の連結も科学的で精巧な結構法で見た目にも美しいだけでなくてその作りも丈夫!これを現在的に解釈してみると「生活の中のデザイン」を見事に実現!って感じになるかな。(^-^)

展示はサランバン(舎廊房・主人の部屋)家具、アンバン(居間)家具、台所家具、その他の家具など使用空間別に代表的な作品181点が4つのテーマに分類・展示されています。中でも木工家具が使用されていた代表的な空間、サランバンの様子が展示場入口に再現されているので、気張らなくても自然に韓国伝統家屋と部屋の構造、それからその中で使用されていた木工家具が鑑賞できる、というわけです。展示作品を鑑賞する時は、単純・簡潔な中にも面分割を自由自在に駆使した韓国木工家具を楽しむのがポイント!(^-^)それでは部屋に入って一つ一つじっくり見てみましょう!


書案(ソアン・机)
1.サランバン(94点):
サランバン(舎廊房)は儒教の徳目を身に付けるために精進するソンビ(士人)が生活し、お客様をもてなした部屋!だからサランバンは素朴で落ち着いた雰囲気が重要。というわけで単純ですっきりしたラインと面の家具が好まれました。木は光沢がなく素朴な質感の桐や松の木が主に使われ、時には欅や柿の木など木目が美しい木を利用して自然美を生かしたりしたそう。ソンビの書斎ともいえるサランバンに絶対に欠かせない家具、書案(ソアン・机)・硯床(ヨンサン・硯箱)・文匣(ムンカッ・文箱)・卓子(タクジャ・机)・(チェッチャン・本棚)・(イチュンジャン・二段箪笥)などが置かれ、壁にはコビ(手紙などを入れておくもの。紙を袋状にして壁に掛ける)・筆架(ピルガ・筆かけ)などがかけられ、座灯(チャドゥン)や灯架(トゥンガ)などの照明器具が配置されています。それから書斎用品の筆筒(ピルトン・筆箱)・紙筒(チトン)などや小物、書類を保管する各種函(ハム・箱)が使用され、書案の横には低くて広いチェパン(部屋の中に煙草筒・灰皿・唾具・溲瓶などを置くために敷いた板もしくは厚い紙)があり、煙草筒(タンペトン)・灰皿(チェットリ)・唾具(タグ・たんつぼ)などが一ヶ所にまとめられています。この他には網巾桶(マンゴントン)・木枕(モクチム)・肘掛(パルコリ)・座鏡(チャギョン)などがあります。これらのサランバンの家具は今回の展示の中心で、展示品の中でも一番大きな比重を占めています!

筆架(ピルガ・筆かけ)
竹製紙筒(チュッチェチトン)

平床(ピョンサン)

竹製考備
(チュッチェコビ)
四層四方卓子
(サチュンサバンタクチャ)

竹張硯床(チュッチャンヨンサン)
文匣(ムンカッ・文箱)

二層籠(イチュンノン)
2.アンパン(31点):
アンパンは女性が生活する部屋で儒教的慣習によって外部と隔離されていますが、子供を育て家庭生活の中心となるとっても重要な所!だからサランバンの簡素な雰囲気とは違ってアンパンには女性の部屋らしくシックで美しい家具が置かれました。簡素な木工家具のほかにも螺鈿や画角など華やかな家具も好んで使われましたが、今回の展示ではそんな典型的な豪華なアンパン家具は除外され、本来のアンパンの様子を一部だけ知ることができます。アンパンの主な家具はチャン(・たんすや本箱など物を入れる家具)と籠(ノン・行李や葛籠のこと)。これらは一年を通してたくさんの衣服や綿・布地・ポソン(足袋)などを保管するのに使われたもので、いろいろな形のものがあります。側壁には低くて長い机が置かれていて物品を保管するためのいろいろな箱があります。また身づくろいのための座鏡とビッジョッ(櫛・櫛の間の汚れをとるためのブラシなどを置いておく器)はアンパンの必需品!(^-^)

虎足盤(ホチョッパン)
3.台所(34点):
台所の家具は、台所で使用する物と食べ物を運ぶのに使う物とに分類できます。まず台所の中で使用する物には饌(チャンジャン・食器棚)や饌卓(チャンタッ)などがあって、これらは鍮器や磁器のような重い器を重ねておく家具なのでとても頑丈に作られています。それから料理を運ぶのに使われた代表的な物は小盤(ソバン)と呼ばれるもの。これは手に持って運びやすいように小さく軽くなければいけないため、主に丈夫で軽い銀杏の木が使用されました。この他にもいろいろな穀物を入れておく大小様々のティジュ(穀物を入れておく木で作られた櫃)があります。これは風通しが良いように、また害虫を防止するように、そして穀物の重さに耐えられるようにとっても丈夫に作られています。

4.その他(22点):
その他、展示されている家具には、必要に応じて房(部屋)や大庁(母屋の部屋と部屋の間にある広い板の間)、時にはクァン(書房、書体道具などを置いておく空間)のような所に置かれたパンダジ(表の上半分が引き開きの扉になっている櫃形の箪笥)、櫃(クェ・ひつ)などや、漢方薬局でも使われ家で必要な常備薬や非常薬などを保管するためにも使われた(ヤッチャン)などがあります。

パンダジ
(ヤッチャン)


以上、「朝鮮木工家具大展」を見てきたわけですがいかがでしたか?現代的な空間に韓国の伝統木工家具をディスプレイすると、古臭いどころかおシャレな空間に変身しちゃうから不思議。(^-^)a 韓国の古家具に関心がある方、今回の展示会を絶対にお見逃しなく~!それから日本語の展示説明は団体(10名以上)で1週間前に予約すればOK。英語は土曜日の午後3時、韓国語は1日3回(11時、14時、16時)行われています。それでは、サランパンに展示されている木工家具をじ~っくり見ているソウルナビでした。

行き方
湖巌ギャラリー(ホアムゲロリ):地下鉄1・2号線シチョン(市庁・City Hall)駅9番出口を出て、左側の大通りに沿って200mほど直進すると中央日報のビルがあります。そのビルの1階にあります。


「朝鮮木工家具大展−木目に込められた知恵」
(The Charm of Joseon Dynasty Wooden Furniture)

  • 日時 : 2002年5月31日~9月1日
  • 時間 : 10:00~18:00(毎週木曜日21:00まで延長)
  • 場所 : 湖巌ギャラリー
  • 休館日 : 毎週月曜日
  • 料金 : 大人4.000ウォン/小・中・高2、000ウォン(団体10人以上50%割引)
  • 主催 : 湖巌美術館、中央日報
  • 後援 : 文化観光部
  • 問合せ : 02-771-2381~2
  • ホームページ : www.samsungmuseum.org (韓国語、英語)

※写真は湖巌ギャラリーの許可を得て撮影いたしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2002-08-12

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